終焉の家でスケッチ 庭の草刈りや落ち葉拾いも 一村キッズクラブ

2023年05月22日

子ども・教育

田中一村終焉の家で、モチーフに選んだアオノクマタケランの花を真剣に見詰め、スケッチする児童=21日、奄美市名瀬

奄美に暮らす鳥たちや植物を描き続けた日本画家、田中一村の功績を学ぶ「一村キッズクラブ」の活動が21日、奄美市名瀬の「田中一村終焉(しゅうえん)の家」であった。奄美大島内の小中学生4人とその保護者らが参加。アカショウビンやアカヒゲのさえずりが響き渡る旧家の敷地で、子どもたちは自ら選んだモチーフの植物と向き合い、丁寧に色を重ねスケッチを楽しんだ。

 

県奄美パーク・田中一村記念美術館が月に1度、小~高校生を対象に行っている活動。田中一村の生き方を学びながら奄美の美しさを再発見し、芸術や郷土、自然を大切にする心の育成を目的としている。今回は2023年度の第1回目。

 

児童らは庭の草刈りや落ち葉拾いをした後、水彩画のスケッチを開始。講師の上原直哉学芸専門員は「自分の目で見て時間をかけて描くことで、その瞬間の気温や音も記憶に残る。全体を捉えながら、植物の特徴をよく見詰めて」とアドバイス。子どもたちは濃度や色が異なる絵の具を重ねて描く「たらしこみ」などの技法を教わりながら、真剣にスケッチに取り組んだ。

 

古仁屋中学校2年の鼎沙羅さん(13)は、モチーフにイトバショウの葉を選択。「イトバショウを見て、形がシンプルで色が好きだなと思った。黄色をベースに描いたけれど、よく見ると葉一枚一枚の色がまったく異なると気が付いた。楽しかった」と笑顔で話した。

一村キッズクラブでは会員を募集中。6月18日は奄美市内を歩き、清掃活動とスケッチを楽しむ「歩こう会」を予定している。