群島の高校生集い研究発表 学び交流、探究心磨く 大島高校で「サミットIN奄美」
2025年03月20日
子ども・教育

奄美群島内外の10高校が研究結果を発表した「高校生サミットIN奄美2025」=19日、奄美市名瀬
奄美群島高校探究コンソーシアム(会長・貴島邦伸大島高校長)主催の「高校生サミットIN奄美2025」が19日、奄美市名瀬の県立大島高校であった。奄美群島の全高校と神奈川県の高校の計10校が、探究活動や課題研究の成果を発表。県内外の大学や研究所の教授らが厳しくも的確に助言し、他校の発表に刺激を受けた生徒たちは研究内容や伝え方に磨きをかけた。
コンソーシアムは県内5大学(鹿児島、志學館、第一工科、鹿児島国際、鹿児島純心)と2研究所(東京大学大気海洋、駒澤大学応用地理)、奄美群島の9高校と1企業で構成。群島内外の高校生の交流促進や、奄美の課題解決へ向けた研究を深め、イベントやデータベースを通して高校生が大学などの研究者の知見に触れる機会を創出するため昨年3月に設置された。
サミット開催は2回目で、今回は大島高校の1、2年生や各校の代表者、教員、来賓など計600人が参加。同校2年の山田みやびさんの開会宣言後、貴島会長が「この機会を通じて学び合い、交流し、未来を創造するための探究心や仲間をつくって」と呼び掛けた。
高校生の発表前には鹿児島大学理事・副学長の岩井久氏が「もうひとつの故郷(ふるさと)・奄美―パッションフルーツ研究の先に見るもの―」と題し基調講演。瀬戸内町で発生したパッションフルーツ奇形果の原因となった新種ウイルスを特定し、防除に至るまでの研究の経緯などを説明した。
各高校は伝統文化や自然、科学、教育、地域活性など多様な視点で研究発表。与論高校1年の裾分結海さん、髙田三貴さん、山下海七斗さんは、教員の福利厚生の向上が教員不足を解消し、児童生徒の教育の質向上につながると指摘。与論島内の教員住宅の老朽化に着目し、改善に向けたアンケート調査や取材の結果を報告した。
教授らは「着眼点がよかった」「児童生徒や保護者が、この問題をどう捉えているかの意識調査をしてみては」「問題意識の掘り下げが必要」「教育の質を高めるためにはソフト面のアプローチもあるとよい」などと提言した。
全校の発表後、教授らは一人ずつ総評。鹿児島大学の河合渓教授は「昨年も参加したが、発表がグレードアップしていて驚きとパワーをもらった。大学教授たちの厳しい助言にも対応し、いい発言をしていたと思う」などと評価した。
喜界島の特産品を生かした商品開発について発表した喜界高校の2年の松田くららさんは「不安もあったが、今までやってきたことをすべて出し切れた。今回いただいた意見を島に持ち帰ってよりよいものをつくっていきたい」と意欲を見せた。
神奈川県から参加した横浜サイエンスフロンティア高校2年の小林礼奈さんは初の奄美訪問。「横浜だと地域のことは自治体や企業が率先して取り組んでいる印象だが、奄美は自分たちの地域について高校生が深く考えていると感じた」と話した。
生徒交流会には各校の代表者64人が参加し、レクリエーションで親睦を深めた。