群島内外11高校が集結 全国5大学の教授ら助言 課題解決へ新たな視点得る 名瀬で初サミット

2024年03月16日

子ども・教育

奄美群島内外9高校が研究結果を発表した「高校生サミットIN奄美」=15日、奄美市名瀬の県立大島高校

奄美群島高校探究コンソーシアム(貴島邦伸会長)主催の「高校生サミットIN奄美」が15日、奄美群島内外の11高校が参加して、奄美市名瀬の県立大島高校であった。奄美の7校と鹿児島市、横浜市の各1校が農業や動植物の生態、文化継承などの課題研究成果を発表し、全国5大学の教授らが助言。生徒は他校の研究発表や教授らの助言に耳を傾け、奄美をはじめとした社会の課題解決へ向け新たな視点を得ていた。

 

コンソーシアムは4大学(鹿児島、東京、志學館、第一工科)と奄美群島内の9高校、1企業で構成。群島内外の高校生の交流促進や、奄美の課題解決へ向けた研究を深め、高校生が大学などの研究者の知見に触れる機会づくりのため同日、設置された。群島すべての高校が集結した高校生サミットは今回が初めて。大島高校の1、2年生や各校の代表者、教員、来賓など計550人が出席した。

 

開会あいさつで貴島会長(大島高校長)は「普段は海を隔てて交流の機会を持つことが難しい高校生が一堂に会して探求学習の成果を発表し、交流の機会を持つことができうれしく思う。これを機に群島内外の高校間の学びの交流の輪を広げてほしい」と願った。

 

続いて、奄美地域と連携した研究に取り組む「亜熱帯・Kuroshioプロジェクト」メンバーで、東京大大気海洋研究所国際・地域連携研究センターの早川淳准教授の講演があった。早川准教授は海鮮ラーメンの一種「磯ラーメン」の地域差を説明し、「一つの見方は多彩な見方につながっている」とし、地域の自然や食文化の多様性を比較する必要性を語った。

 

研究発表で登壇した徳之島高2年の水田彩萌さん、田中結子さんは「ウミウシの生態を解明し、人が飼える方法を開発する」の題で、ウミウシの飼育に適した水温や餌などを研究した成果を報告した。

 

飼育にはウミウシの種類ごとに違うカイメンが必要となり、その確保が難しいことを課題とし、餌の問題が解決できれば家庭飼育が簡単になるかもしれないと考察。教授らは「徳之島で生息の分布調査をして、ウミウシマップを作ってみては」などと助言した。

 

全校の発表後、全体総評があった。駒沢大学の須山聡教授は「どの研究も内容が詰まっており、自分たちの頭で考えて、目で見て、手を動かしてつくったものだと感じた。高校生の物事にとらわれない発想がこれからますます必要になってくる」などと語った。

 

与論島の土壌についての研究結果を発表した与論高1年の吉田芽生さんは「緊張したが、自分たちの研究の成果を最後まで伝えることができた。他校の発表は刺激的だった。(教授らの)助言を参考に、今後も研究を進めていきたい」と意欲を見せた。

 

大島高2年生で、コンソーシアム実行委員長の福崎心結さんは「各校の研究分野の多様さが面白く、新しい知識を得ることができた。いろんな角度からの視点の助言もあり、大きな学びとなった。卒業までの期間、研究を改善しながら後輩たちに継承していきたい」と話した。