迫る選抜、初戦へ大島高 吹奏楽部、合奏練習に熱 書道部は大型作品で応援

2022年03月13日

子ども・教育

阪神甲子園球場での演奏へ向けて合奏練習に取り組む大島高校吹奏楽部=9日、奄美市名瀬の同校

奄美市名瀬の県立大島高校野球部が22日に初戦を控える第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)へ向け、同校で応援のボルテージが高まっている。阪神甲子園球場での演奏が可能となった吹奏楽部は、合奏練習を本格化。一方、新型コロナウイルス対策の一環でプラカードなどの持ち込みができない書道部は、熱い思いを込めた大型作品を奄美市内の公共施設に展示している。生徒たちは今、できる形で野球部にエールを送っている。(西谷卓巳)

 

■奄美一丸の応援を後押し

 

野球部が奄美大島から関西へ飛び立った9日、大島高校では吹奏楽の音色が力強く響きわたっていた。球場で演奏できることが2日に分かり、急ピッチで合奏練習を進めている。

準備しているのは歌謡曲や島唄、新民謡など計25曲ほど。野球部の出場登録選手一人一人からのリクエストや、奄美在住・出身者からも提案があり、群島各地で親しまれる楽曲を多く取り入れた。

 

目指すのは「奄美一丸となった応援を後押しする演奏」。田川海空部長(2年)は「しっかり練習を重ね、気持ちを込めて演奏したい」と意気込む。本番は現部員に卒業した3年生が一部加わり、計30人余りで球場演奏に臨む。

 

「全国の奄美関係者が注目する甲子園。音楽で心を一つにしてほしい」。9日の吹奏楽部の練習には、島唄や新民謡を野球部応援用に編曲した同市名瀬の音楽講師、城昭久さん(67)も立ち会った。

 

六調やイトゥ、ワイド節、島のブルースなどの編曲について「球場の雰囲気を想像した」と城さん。自身も大島高野球部OBで、同校が甲子園初出場を果たした2014年当時の屋村優一郎校長とは小、中、高校の同級生だという。

 

城さんは「甲子園に奄美の音楽が流れるのは感慨深い。勢いある演奏で球場から全国へ届けてほしい」と吹奏楽部を激励。松原こゆき副部長(2年)は「奄美を離れた人にも島の情景を思い起こしてもらえたら」と思いを受け取った。

 

■「野球部の力に」

 

奄美市名瀬の市民交流センター1階にある休憩スペース「マチナカリビング」には現在、大島高野球部への思いを込めた大型書道作品が展示されている。書き上げたのは同校書道部だ。

 

作品には「苦しい世界に感動をありがとう。胸を張れ、前を向け、さぁ行こう。巻き起こせ、僕らだけの革命。Enjoing Baseball」とつづられている。

 

5日、同センター「マチナカホール」であった大島高ダンス部発表会で、賛助出演した書道部がパフォーマンスしながら完成させた。同センターを管理するNPO法人アマミーナの川元一生事務局長は「野球部に負けず、躍動感にあふれている」と作品をたたえる。

 

書道部の木村文音顧問は「文章もデザインも生徒たちが考えた。甲子園球場に作品を持ち込むことはできないが、書道を通じて野球部の力になれたらうれしい」と語った。作品は3月末まで展示されている。

大島高校書道部が野球部への感謝と激励をつづった大型作品=9日、奄美市名瀬の市民交流センター