復帰70周年、友情育む 東京の「少年使節団」と交流 名瀬小

2023年07月29日

子ども・教育

石段に立ち泉芳朗の詩「断食悲願」を共に朗読する中村小と名瀬小の児童ら=28日、奄美市立名瀬小学校

東京都の練馬区立中村小学校(中村直人校長、児童932人)の「少年使節団」が28日、奄美市の名瀬小学校(上村英樹校長、児童317人)を訪問した。両校は奄美群島の日本復帰をきっかけに長年交流を続けており、児童たちは互いの学校紹介や八月踊りなどを通して親睦を深めた。校庭の石段では復帰運動を主導した泉芳朗の詩「断食悲願」を共に朗読し、復帰70周年の節目を祝った。

 

少年使節団は奄美群島が日本に復帰する直前の1953年12月初旬、雑誌「少年クラブ」(講談社)の企画で中村小の児童2人と教諭1人が奄美大島を訪問し、島内の小・中学校で交流を図ったことが始まり。

 

その後、復帰40周年を機に当時の児童らの消息をたどる動きがあり、メンバーの再会を機に2小学校間の交流がスタートした。97年と2003、13年には中村小が奄美へ、99年と04年、18年には名瀬小が東京を訪れている。

 

今回の中村小使節団は5、6年生15人と教諭らで構成。27日に奄美入りし、名瀬小の代表児童16人と共に泥染め体験や天体観測を楽しんだ。

 

28日は名瀬小の5、6年生約60人と吹奏楽部のほか、18年に名瀬小使節団を務めた大島高校生6人と教諭、保護者らが体育館で中村小の児童を待ち構えた。70年前に名瀬小で少年使節団と交流した鎌倉市在住の島岡稔さん(82)もこの日に合わせて来校した。

 

交流会で名瀬小6年の白濱ひなのさん(12)は「奄美の自然や文化に触れながら仲を深め、次の世代にもつなげていけたらと思います。東京の話も聞かせてください」とあいさつ。泉芳朗の詩を共に朗読したほか、一緒に八月踊りや六調を楽しむ場面もあった。

 

中村小6年の五月女桜彩さん(12)は「石段の上で一緒に『断食悲願』を朗読して、奄美の人たちの日本に戻りたいという強い思いを感じられた。たくさんの思い出を作り、これから先もずっと仲良くしてほしい」と話した。

 

奄美の森の生き物について学ぶ児童ら=28日、奄美市住用町の奄美大島世界遺産センター

交流会の後は使節団と名瀬小の代表児童らでバスに乗り込み、奄美市住用町の奄美大島世界遺産センター見学やマングローブカヌー体験で奄美の自然の魅力を体感した。使節団一行は29日まで滞在する。