国交大臣賞と〝推し〟のW受賞 ドローンの平時有事活用を評価 瀬戸内町など5産学官が連携 JOIP

2025年02月06日

政治・行政

3分間ピッチを行う宮前和弥主任=5日(オンライン視聴より)

内閣府が主催する「第7回日本オープンイノベーション大賞(JOIP)」の表彰式が5日、東京都千代田区の内閣府講堂であり、瀬戸内町と日本航空(JAL)、奄美アイランドドローン(AID)、防災科学技術研究所、筑波大学計算科学研究センターが連携して取り組む「奄美大島瀬戸内町におけるドローンを活用した平時有事対応住民向けサービス」が国土交通大臣賞と、式典参加者らによる〝推し〟投票の1位に輝いた。離島で空中輸送体制を構築する社会的意義、高齢化が進む地域や災害時の孤立地域などへの展開の可能性が評価された。

 

国土交通大臣賞を受賞する式典出席者代表(左)=5日(オンライン視聴より)

JOIPは「産学官連携功労者表彰」を前身に2018年度に始まった。組織の壁を越え、知識や技術、経営資源を複合させた新たな取り組み「オープンイノベーション」の推進が目的。ロールモデルとして期待される先導的、独創的な取り組みを表彰しており、今年は全国から15の取り組み・プロジェクトがノミネートされた。

 

瀬戸内町とJALは23年にドローン運航会社AIDを共同で設立。24年2月から大型物流ドローンによる住民向けの行政サービスを開始した。平時は二次離島の請島と与路島へ医薬品や給食食材の配送を行っており、災害や海上悪天候に伴う町営船欠航などの有事の際には救援物資の輸送や物流インフラの補完など、平常と非常を切り分けないフェーズフリー運航を実施。

 

また、防災科研や筑波大と連携し、町の地域防災計画へドローン活用を組み込んだ他、総合防災訓練では被害状況の確認などにドローン技術とICT(情報通信技術)を合わせた訓練を展開するなど、条件不利地域の課題解決にも取り組んでいる。

 

表彰セレモニーには瀬戸内町企画課の登島敏文課長ら6人が出席。JALエアモビリティ創造部ドローン事業グループの宮前和弥主任をはじめ、15のノミネーターが3分間のピッチ(プレゼンテーション)に臨み、各賞が発表された。また、会場参加者とウェブ視聴者による〝推し〟プロジェクトの投票もあり、瀬戸内町での同取り組みが1位に選ばれた。

 

国土交通大臣賞と推し投票1位のW受賞の報告を受けた鎌田愛人町長は「共にプロジェクトに携わってくださった皆さまに心より感謝申し上げる。本町はDX推進計画に沿ってデジタルファーストに取り組む中、ドローン事業においても災害時や平時の物資輸送など、住民ニーズに応えられるよう努めているところ。また、日本の有人離島は421島で、うち独立離島は約300島あり、各島が抱える地域課題の解決に向けて瀬戸内町の取り組みが一助となれば幸い」と喜びを語った。