宿泊税導入、市長答申へ 1泊200円の課税案決定 奄美市財源創設検討委

2025年01月24日

政治・行政

宿泊税導入、市長答申へ 1泊200円の課税案決定 奄美市財源創設検討委

世界自然遺産の価値を高めていくために必要な財源の確保について話し合う奄美市の「世界自然遺産に関する新たな財源創設検討委員会」(委員長・松田忠大鹿児島大教授、委員9人)の第6回会合が23日、市役所であった。宿泊施設に泊まる人から徴収する宿泊税の導入を想定し、制度案を協議。1泊当たり200円を徴収する課税案を決定した。3月21日の最終第7回で検討報告書をまとめ、安田壮平市長に答申する。

 

同検討委は自然環境の保全や世界自然遺産登録で増加が見込まれる観光客らへの対応で必要な財源の確保策を検討するため、2023年8月に設置。これまでの会合で宿泊税について優先的に議論を進めることや、新たな財源を徴収する宿泊事業者の負担軽減などを確認している。

 

市世界自然遺産課によると、18~23年の市内における年間平均延べ宿泊者数は30万7057人。奄美大島交流人口動態調査では、17~20年の奄美大島の平均宿泊数は2・46泊となっている。

 

宿泊税の課税対象については、宿泊データの把握や徴収した税金の確認のしやすさなどを踏まえ、1泊ごとの徴収を決定。税額は宿泊税を導入している他自治体の設定額を考慮し、「持続可能な観光振興には一定程度の財源が必要」などの意見から1泊200円に設定した。出産や通院などに伴う宿泊分を課税免除とするかについては検討課題とした。

 

宿泊税を徴収する特別徴収義務者(宿泊事業所)への経費負担については、予約システムなどの改修補助金、システム利用手数料など必要経費を補てんする特別徴収交付金を導入するとした。

 

新たな財源の使途について、委員からは「2次交通の充実」「トイレや道路の整備、ごみ問題の解消」「持続可能な観光振興に向けた自然の再生」「遺産価値の発信」などの意見が挙がった。

 

次回会合では宿泊税制度案、報告書案をまとめ、安田市長へ答申する。答申を受けた後、市は宿泊事業者への説明会や総務省との事前協議を経て条例案を作成する。市議会の承認、同省の同意が得られれば、27年度からの宿泊税の実施を想定している。