観光拠点施設として活用へ 民間資金活用、方針案示す 休館中の体験交流施設 奄美市

2025年03月12日

政治・行政

2023年6月から休館が続く健康体験交流施設=奄美市名瀬

奄美市は11日、2023年6月から休館が続く名瀬大浜海浜公園の健康体験交流施設について、今後の活用方針案を示した。健康増進施設として高齢者ら一部の市民に利用者層が固定化しつつあった従来の状況から脱却し、観光客をメインターゲットにしつつ地元住民も訪れたくなる「観光拠点施設」として持続可能な施設運営を目指す。今後は民間資金・民間活力による整備、運営(PFI方式)を想定。施設の具体的な活用提案と維持管理・運営、改修工事の設計や施工を希望する民間事業者の公募を、25年中に開始する方針。

 

同施設は奄美群島振興開発事業の非公共事業を活用し、総事業費10億5千万円で整備。06年のオープンから17年間で延べ100万人が利用した。一方で、子育て世代や観光客を含む若い世代の利用が伸びずに収益が低迷。施設の老朽化や社会情勢の変化などに伴う維持管理費増も重なり、23年5月末で指定管理者が撤退した。

 

市によると13~22年の10年間の同施設の収支状況は、年平均で約1100万円の赤字。このため市は将来のニーズに合った持続可能な施設を目指すため、休館後の早期再開は見送り、「市民と観光客対象のニーズ調査」や「島内外の民間企業との対話(サウンディング調査)」などを行い、施設の新たな活用方法を検討してきた。

 

新たな施設活用の方針案では「奄美ならではの自然、食、産業、景観といった資源を活用したコンテンツを提供する観光拠点施設として、持続可能な施設運営」を打ち出している。

また民間の資金・技術力を活用するPFI方式での施設改修、運営を想定。ただし、奄美海洋展示館に海水を取水している施設の地下部分の配管は、市による改修と維持管理を検討している。

 

今後、市が示したPFI手法での民間参入の可能性を調査した後、10月から民間事業者の公募を開始。事業者によるプレゼンテーション審査を経て25年度中に事業者を決める方針。

 

現時点では26年9月~27年6月の施設改修と、同年8月の施設運営開始を目指している。

 

健康体験交流施設の活用方針案は、同日の市議会全員協議会で当局が議員に説明した。3月中にも市のホームページに掲載する。