救命率向上へPA連携開始 名瀬消防署
2020年04月23日
政治・行政
奄美市の大島地区消防組合名瀬消防署(圓博志署長)は今月1日から、救命率向上を目的に消防隊が救急隊の活動を支援する「PA連携」を運用している。救急車と消防ポンプ車が同時に緊急走行するため、同署は「火災に限らず、救急現場に消防車が来ることもあると理解してほしい」と呼び掛けている。
「PA」は「Pumper」(消防ポンプ車)と「Ambulance」(救急車)の頭文字をとった用語。PA連携では、救急要請について▽心肺停止が疑われる▽事故現場などで危険が伴う▽搬送が困難な地域│などの場合に消防隊が救急活動を支援する。
全国的に運用されているが、大島地区管内(奄美大島、喜界島)の名瀬消防署を除く各消防分署、分駐所と徳之島地区消防組合、沖永良部与論地区広域事務組合では未導入。人員不足などによるもので、それぞれ事案ごとの出動増員などで対応している。
名瀬消防署の隊編成は消防2隊、救助1隊、救急1隊。支援を要する救急事案についてはこれまで、救急隊員3人のほか消防、救助隊いずれかの1人が救急車に同乗して出動していたが、隊の人員を分散させるため後から発生した火災、救助事案への対応に支障が出る恐れがあった。
PA連携では、救急支援出動の場合も消防、救助隊はチームで動くため、隊は署に戻らず次の現場へ向かうことができる。複数人数で救急現場の安全確保や搬送支援を行うため、救急隊員の迅速な救命措置につながる。
同署で運用を始めた今月1日以降、21日までにPA連携を活用した事案は14件。今後、実践を通して効果や課題を検証し、消防ポンプ車にも救命資機材を積むなど、必要な対応を検討するという。
圓署長は「現場活動の効率化、搬送時間の短縮による救命率向上が最大の目的。消防車のサイレンを聞く機会が増えるかもしれないが、救急支援で出動することもあると知っておいてもらいたい」と理解を求めている。