遺産センター21年度に着工へ 環境省 住用に直轄整備
2019年05月24日
政治・行政
奄美群島12市町村長と関係機関の代表らで構成する奄美群島の世界自然遺産登録推進協議会(会長・朝山毅奄美市長)の会合が23日、奄美市名瀬の奄美会館であった。環境省は奄美市住用町に直轄整備を計画している「奄美大島世界自然遺産センター(仮称)」について、奄美・沖縄の2020年夏の登録実現を経て、21年度に着工する方針を示した。
世界遺産センターは遺産管理の拠点施設。環境保全の普及啓発や観光利用の中核となる。計画では同町の「黒潮の森 マングローブパーク」に併設。奄美群島国立公園のビジターセンターとしての機能を併せ持ち、貴重な自然と共に、自然と人の関わりが育んだ「環境文化」についても紹介する施設となる見通し。
同省は18年度にセンターの基本計画を策定。19年度は基本設計を行い、20年度の実施設計を経て工事に着手する方針。
沖縄奄美自然環境事務所の東岡礼治所長は「遺産登録によって奄美の価値は世界に認められる。希少な生き物と、奄美の人々が共存してきた歴史も含め、多くの人に伝えていきたい。島内にあるさまざまな利用拠点に行ってみたいと思えるセンターを目指したい」と述べた。
国立公園の施設整備計画では、20年度に奄美最高峰・湯湾岳(宇検村、大和村)の山頂近くの広場に展望台を整備する。公園内への多言語案内標識や、希少種の密猟防止に向けた規制標識の設置を進める。
世界自然遺産登録を目指す「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」は、政府が18年にいったん国連教育科学文化機関(ユネスコ)への推薦を取り下げた後、推薦内容を見直した上で、今年2月に再推薦した。
ユネスコの諮問機関・国際自然保護連合(IUCN)が今年夏から秋ごろに再び現地調査を行い、20年夏の世界遺産委員会で登録の可否が審査される。