大和慰霊塔の修復完了 全国から5900万円の寄付 7日、57回目の慰霊祭開催 伊仙町

2024年04月05日

政治・行政

約3カ月の修復を終えた慰霊塔=4日、伊仙町犬田布

【徳之島総局】伊仙町がふるさと納税を活用したガバメントクラウドファンディング(GCF)などで寄付を募って進めていた「戦艦大和を旗艦とする特攻艦隊戦士慰霊塔」の修復工事が、このほど完了した。総工費約8700万円のうち、約5900万円は全国から寄せられた寄付。町は「遺族や関係者のほか、多くの賛同者から支援をいただいた。今後も平和の象徴である慰霊塔の維持と保存に努めたい」と感謝した。

 

同町の犬田布岬に1968年に完成した慰霊塔は鉄筋の腐食やコンクリートの剥落などもあり、安全面から周辺を立入禁止にする措置が取られていた。遺族や地域住民から修復を求める声が上がり、町は昨年8月からGCFで寄付を募っていた。

 

その結果、GCFでは昨年10月29日までに約1200万円が集まり、別途で塔の修復を指定した寄付約4700万円も寄せられた。残りの約2800万円は町の一般財源を充てた。

 

慰霊塔の修復は2010年度にも行われており、今回で2回目。今回は昨年12月22日から今年3月28日までに剥落箇所の修復、補強、塔表面の防水塗装、破損していた避雷針の更新などを行ったほか、塔内部7カ所にコンクリートの膨張を検知するセンサーも設置した。

 

同町では大和が沈没した4月7日に毎年、慰霊祭を開催。57回目の今年は同日午後1時40分から慰霊塔のある犬田布岬で行い、航空自衛隊那覇基地第9航空団司令部のF15戦闘機による慰霊飛行なども予定している(※悪天候時は会場、内容ともに変更の可能性がある)。

 

戦艦大和を旗艦とする特攻艦隊は1945年4月6日、山口県徳山湾沖から沖縄へ向け出撃。翌7日に鹿児島県坊ノ岬沖で米軍の攻撃を受け、午後2時23分に沈没し3737人が犠牲になった。大和の沈没地点は長らく徳之島西方沖とされてきたが、その後の調査で坊ノ岬沖であることが分かった。