奄美市と大島拘置支所が災害時避難所提供で協定

2019年03月23日

政治・行政

災害時の施設利用に関する協定を交わした朝山奄美市長(右)と西﨑鹿児島刑務所長=22日、奄美市役所

災害時の施設利用に関する協定を交わした朝山奄美市長(右)と西﨑鹿児島刑務所長=22日、奄美市役所

 奄美市と鹿児島刑務所大島拘置支所(同市名瀬、邊野喜有信所長)は22日、災害時に支所施設の一部を周辺住民の避難所とする協定を締結した。法務省矯正局福岡矯正管区によると、九州地方で地元自治体と災害協定を結んだ法務省管轄の刑事施設(刑務所、拘置所など)としては10例目、支所としては初の事例だという。

 

 同支所の庁舎は2017年に再建。鉄筋コンクリート造2階建て(一部3階)で、1階の会議室と宿直室(合計約30平方メートル)を含むスペースに約50人を収容できる。トイレや浴室が使え、高齢者や身体障がい者に対応した設備が充実。自家発電、変電設備など防災機能も備わっている。

 

 同日、奄美市役所で調印式があり、朝山毅市長は「奄美は台風など災害が多く、交流人口が増える中、避難所の確保は喫緊の課題。この協定は住民の安心につながる」と感謝。西﨑則昭鹿児島刑務所長は「地域のため、できる限りのことはしたい」と語った。

 

 調印式には、同支所がある矢之脇町の自治会(約190世帯)から榊雄二会長(67)も出席。同町から最寄りの指定避難所(金久中学校)までは500メートルほどあり、高齢者らの避難に時間が掛かると懸念されていた。

 

 協定締結について、榊会長は「1年半ほど前から拘置所に要望しており、自治会の悲願だった。町内に大きな建物はなく、公園を避難場所として訓練していた。ほかの自治会でも同様の動きが広がり、市内の防災機能が高まれば」と話した。