徳之島で国、県、自治体共同避難訓練

2018年01月11日

政治・行政

頭を手で抑え、低い体勢で保つ住民ら

頭を手で抑え、低い体勢を保つ住民ら

 近隣国からの弾道ミサイルの飛来を想定した住民避難訓練が10日、徳之島町亀津地区であった。国、県、自治体が共同で開催した県内初の訓練。住民や行政関係者ら約160人が参加した。防災行政無線や緊急速報メールでミサイル発射の情報を受けた住民が避難行動に取り組み、万一の事態に備えた。

 国は昨年4月から各都道府県に訓練実施を呼び掛けており、2016年2月に北朝鮮が発射した弾道ミサイルが沖縄上空を通過したことも踏まえて、町側が県に要望していた。国との共同訓練は全国で26例目で、離島開催は全国で初めて。

 X国から午後2時に弾道ミサイルが発射され、わが国に飛来する可能性があると判明したとの想定で行われた。発射から3分後、亀津地区では屋外スピーカーと個別受信機を通じて「ミサイルが発射された模様です。建物の中、または地下に避難してください」と全国瞬時警報システム(Jアラート)の録音音声を流し、避難を呼び掛けた。

 亀津カトリック幼稚園では、園児らが保育士の指示に従って建物に逃げ込んだほか、徳之島町役場では避難してきた約30人の住民が、低い姿勢で身を守るなどの行動を取っていた。船上の漁業者に対して緊急速報メールで避難を求める訓練も同時に行った。

 訓練後、末永洋之内閣参事官は「北朝鮮から発射された弾道ミサイルが日本上空を通過した事例から、ミサイルの到達時間を発射から約10分後。避難まであまり時間がないことを理解して、きょうの訓練を思い出して行動してほしい」と講評した。避難行動として、①近くの建物への避難②屋内では窓から離れ、低い体勢を取る―などを示した。

 訓練中、一部音声が聞き取りにくく、避難者からは戸惑いの声も聞かれた。高岡秀規町長は「不測の事態に備えることが自治体の責任。情報伝達手段を多岐にわたって検討しなければいけない」と述べた。

 訓練に参加した同町亀津の永吉敏夫さん(89)は「耳が遠いので無線の放送が聞こえず、周りを見て一緒に避難した。訓練はした方がいいと思うが、何度も発射を行っている北朝鮮を思うと、今回の訓練が意味があるのか分からない」と話した。

防災行政無線を聞いて、建物へ避難する園児ら=10日、徳之島町亀津

防災行政無線を聞いて、建物へ避難する園児ら=10日、徳之島町亀津