登録実現へ課題を探る/奄美市で世界自然遺産フォーラム

2018年07月02日

政治・行政

高校生からも活発な提言があったパネルディスカッション=1日、奄美市名瀬

高校生からも活発な提言があったパネルディスカッション=1日、奄美市名瀬

 世界自然遺産をテーマにしたフォーラムが1日、奄美市名瀬のホテルであった。奄美・沖縄の登録延期を受け、専門家や地元関係者らが最短の登録実現に向けて課題を探った。地元の高校生も参加し、「自然体験を通して身近な環境について考えられるシマ遊びをもっと広めたい」「自然や文化を理解するための共通カリキュラムを奄美の全高校で実施できないか」など活発に提言した。

 

 フォーラムは環境省那覇自然環境事務所と大島5市町村でつくる奄美大島自然保護協議会主催。市内外から住民ら180人が参加した。

 

 初めに鹿児島大学の星野一昭特任教授が基調講演し、国際自然保護連合(IUCN)の登録延期勧告について「区域の設定については再考を促されたが、自然環境の価値や保護管理の進め方は評価された」と説明。登録実現へ向け「一人一人が主体的に考えることが重要」と語った。

 

 後半は星野特任教授と奄美大島観光協会の越間得晴会長、唄者の前山真吾さん、大和村地域おこし協力隊の三田もも子さん、サーモン&ガーリックの新元一文さん、大島高校3年生の中山莉李生徒会長、同校2年生で生物部の富元怜司部長が「自然遺産登録に向けて自分たちができること」などのテーマで語り合った。

 

 富元さんは「ある生き物が減ると餌にしていた魚も減るなど、海や山の生き物から環境の変化が分かる」として、遊びを通して身近な自然について考えるプロジェクトを提言。他のパネリストから「旅行商品にも展開できそう」「環境保護へ自覚を持つきっかけになる」などの声が寄せられた。

 

 中山さんは「学校によって自然文化について考える機会にばらつきがある」と問題提起し「授業として学べれば高校生から親や地域へももっと発信できるのではないか」と話した。

 会場ではサイドイベントとして写真パネルや奄美大島の生き物の剥製展示、奄美の自然・文化を360度の映像で楽しむVR(仮想現実)体験コーナーもあり、多くの来場者でにぎわった。