吸血ヌカカの被害多発、影響広範 強いかゆみ、奄美大島・加計呂麻島
2021年05月05日
地域
奄美大島や瀬戸内町の加計呂麻島で吸血害虫「ヌカカ」による被害が相次いでいる。かまれると強いかゆみが出て、症状が1カ月以上続く人もいるという。3月末~5月初旬が発生のピークとされ、住民は「窓も開けられず外出もままならない」「浜辺の虫なので観光にも影響が出ている」と対応に苦慮している。
ヌカカは体長1~2㍉程度のハエの仲間。鹿児島大学国際島嶼教育研究センターによると、瀬戸内町で確認されているのはトクナガクロヌカカの亜種。海岸と住宅の間にあるハマボウやアダンの林内の砂地で発生しているとみられ、羽化したメスの成虫が頭髪に潜り込んだり、衣服の隙間から侵入したりして吸血する。網戸などを抜けて室内に侵入してくることもある。
加計呂麻島の芝集落ではこの時期、多くの住民が窓を閉めて外出を控え、外に出る際は風呂敷をかぶったり、防虫服などを着用したりしているという。芝集落は2019年3月、町に駆除を求める要望書を提出している。豊島主税区長(75)は「特に女性は症状が悪化しやすく、観光客も被害に遭っている。早い対策を求めたい」と話した。
同様にヌカカの被害がある鳥取県米子市で、市の依頼を受け調査研究を行っている米子高専の伊達勇介准教授は、予防策として▽肌の露出を避ける▽虫が入り込む衣服の隙間をなくす▽露出していない襟や袖の内側までしっかりと虫除けスプレーを散布する―などを呼び掛けている。
調査の様子は動画投稿サイト・ユーチューブ内「米子高専知的セミナー・ヌカカの発生時期と対策」(鳥取県民チャンネルコンテンツ協議会)で見ることができる。