至難乗り越え新教会建設 カトリック大笠利教会 コロナ禍に資材高騰で計画見直しも
2024年12月24日
地域
12月25日はキリスト生誕を祝うクリスマスで、奄美群島の日本復帰記念日でもある。奄美大島には多くのカトリック教会があるが、人口減少が進む島で高齢化により信徒も減少傾向にあり教会の維持が課題となっている。そんな中、奄美市笠利町のカトリック大笠利教会の建て替えが行われ、今月8日に新しく生まれ変わった教会の落成式があった。新教会建設が計画されたのは8年前。その後、コロナ禍でミサや寄付を募るバザーなどを開くことができなくなったり、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で建設資材が高騰するなど多くの至難があったが、信徒や関係者らの協力で大事業を成し遂げた。
建て替え前の大笠利教会は1972(昭和)年に建設。半世紀が経過して老朽化が進み、外装も潮風を受け大きな亀裂が入っていたため、2016年に新教会の建設委員会を立ち上げ、18年から寄付を募った。
コロナ禍や建設資材高騰など予想外の出来事があったものの、信徒の積み立てや関係者の寄付などで約1億4千万円を調達。昨年12月に教会を解体し、約1年をかけて新教会を建設した。新教会は建物面積190平方㍍で、外光を取り入れたモダンな建物に生まれ変わった。資材高騰もあって前の教会に比べ約3分の2の規模となり、収容人員も当初は130席を予定していたが、計画を見直し80席とした。
奄美大島では1891~92年ごろ、外国人神父によって本格的なキリスト教布教が始まったとされる。カトリック鹿児島司教区によると、島内のカトリック信徒総数は1962年に4000人を超えていたが、2023年末現在は3015人に減少。信徒の高齢化やコロナ禍の影響もあり、23年末のミサの参列者は約500人とさらに少なくなる。カトリック教会は奄美大島北部を中心に28カ所あるが、現在使用されていない教会もある。
大笠利教会の信徒数は23年末で499人。このうち日曜など主日ミサの参列者は85人。今月8日の新教会落成式の参加者からは「奄美での教会建て替えはこれが最後になるかも」という声も聞かれたという。今年、宣教120周年を迎えた同教会の信徒代表・新納啓昭さん(67)は聖書に出てくる言葉を引用し「心を尽くし、精神を尽くし、力を尽くし、思いを尽くして教会を守っていきたい」と語った。
同教会の主任司祭を務める内野洋平神父(48)は、笠利地区にある教会7カ所のうち、毎週定期的にミサが行われるのは大笠利と赤木名だけで、ほかに手花部で月1回実施していることを説明し、「将来はこの大笠利に集約されるのでは。このままでは共同体が弱体化してしまうので、共同体の再構築が必要」と指摘していた。