非常時に初のドローン輸送 請島へ物資7・5㌔届ける 瀬戸内町

2024年08月30日

地域

7・5キロの物資を搭載し請島へ向かうドローンと関係者=29日、瀬戸内町

瀬戸内町と日本航空(JAL)が共同で設立したドローン運航会社「奄美アイランドドローン」(本社瀬戸内町、登島敏文代表取締役、以下AID)は29日、台風10号の影響で26日午後便から欠航となっている定期船「せとなみ」に代わり、請島へ池地小中学校の給食食材を代替輸送した。非常時における物資輸送の飛行は初めて。

 

AIDは2023年11月に設立。24年2月から二次離島(加計呂麻島、請島、与路島)へ医薬品や給食食材などの日用品、新聞などを定期輸送する他、災害時には孤立集落へ救援物資などを届ける住民向けサービスを開始した。機体はヤマハ発動機「FAZER RG G2」で、最高時速72キロ、搭載可能重量15キロ。実証実験では、風速10キロ、小雨程度の気象条件でも安定飛行が証明されている。

 

代替輸送は、台風10号に伴う海上悪天候で古仁屋―請島・与路島を結ぶ「せとなみ」が30日1便まで欠航となるため、必要物資要請にも対応して実施された。ドローンには2学期の開始を控えた池地小中学校の給食食材約7・5キロを搭載。手安ヘリポートを午後4時33分に離陸し、時折強い風を受けながらも同5時6分には約15キロ離れた池地へ無事に到着、荷物が切り離された。

 

物資を受け取った池地集落の益岡一富区長(70)は「普段から非常時に備えている地域なので今回の台風で特に困ったことは発生していないが、定期船が欠航する中、物資が届くというのは安心感があった。今後につながると思う」と話した。

 

同町企画課の加藤孝幸主事(36)は「本来の目的である災害時の速やかな配送という目標が達成できたことは大きな前進。今後も、平常時と非常時の輸送を組み合わせながら、町民の暮らしを支える便利で安心なサービスが提供できるよう努めていきたい」と述べた。