「ありがとう」「またいつか」 別れ惜しむ風景、今年も 奄美市の名瀬港

2022年04月01日

地域

発光させたスマートフォンを高く掲げ、出港する船に手を振り続ける人々=3月30日、奄美市の名瀬港

「ありがとう」「またいつか」―。年度末の異動シーズンを迎えた3月下旬、奄美市の名瀬港では連日、転勤や就職、進学などで島を離れる恩師や家族、友人と、送り出す人々が別れを惜しむ風景が見られた。県が新型コロナウイルス感染拡大防止のため昨年と同じく岸壁からの見送りを禁止し、船と岸壁をたくさんの紙テープが結ぶ風景も見られない中、見送りの住民らは、大切な人を乗せて去り行く船にいつまでも手を振り続けた。

 

同港ターミナルでは同月30日夜、あちらこちらで「お別れ会」や「出発式」が開かれ、手を取り合いながら言葉を交わす人々でにぎわった。出港の時間が近づくと、見送り客はデッキに移動してペンライトやスマートフォンを高く掲げ、船上の仲間にエールを送った。

 

同市名瀬の朝日中学校吹奏楽部の生徒らは、少人数の同部を全日本コンクール初出場に導いた顧問の橋口通教諭の転出(鹿児島市立明和中へ異動)を惜しみ、港に集った。歴代部員も大勢駆け付け、感謝状や記念品を贈って思いを伝えた。

 

橋口教諭は「一生懸命に演奏するみんながいたから自分も頑張れた。それぞれの場所で音楽を続け、いつかまた会おう」と笑顔を見せた。全日本コンクール出場時の部長、平野愛海さんは「先生と吹奏楽に取り組んだ時間は一生の宝物」と感謝した。