「応援される選手の育成を」 パラリンピック選手らが講演 奄美市でスポ少研修

2023年03月12日

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自身の目標や選手育成への思いを語った小松沙季選手=4日、奄美市名瀬

奄美市スポーツ少年団指導者・母集団研修(同少年団本部主催)が4日、奄美市役所であった。パラカヌー日本代表として東京パラリンピックに出場した小松沙季選手(28)=電通デジタル=と、大塚製薬鹿児島出張所の小川佳樹さんが講演。スポーツ少年団指導者ら約30人が聴講し、障がい者への認識や選手育成、熱中症対策などへの理解を深めた。

 

小松選手は小学2年生でバレーボールを始め、大学卒業後にⅤリーグのブレス浜松へ入団。退団後、体調を崩し両足と左手のまひにより車いすでの生活となった。

 

日常生活については「常に前向きだったわけではなかった」としながらも、「車の運転もできるし、50種目以上の競技もある。『障がいがあっても何にも変わらない』と感じた。考えることをやめなかった結果、パラリンピックに出場できた」と語った。

 

パリパラリンピックに向けては「障がい者への正しい認識を持ってほしい」と、メダル獲得を目標に宣言。「メダル獲得で発信力で活動を広げ、人の役に立てれば自身の価値も高まる。自分を応援してくれる人が増えればさらなる原動力につながる。成長し、生きづらい社会を変えたい」と話し、「勝つために努力するのではなく『応援したい、勝ってほしい』と思ってもらえる選手の育成を」と語り掛けた。

 

小川さんは熱中症の仕組みや引き起こしやすい環境を説明。日常の健康管理に加え、試合当日を基準に体内にエネルギーを蓄積する栄養摂取法などを紹介した。

 

長男が少年野球チームに所属している田中まゆこさん(52)は「多くの学びがあった。小松選手を応援するとともに、自分も多くの人に応援してもらえるような子を育てたい」と話した。