あふれる知性で聴衆魅了 金美齢さん講演会に350人来場 奄美市名瀬

2025年04月12日

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あふれる知性で聴衆魅了 金美齢さん講演会に350人来場 奄美市名瀬

評論家、コメンテーターとして広く知られる金美齢さん(91)の講演会「終わり良ければ全てよし」が10日、奄美市名瀬のアマホームPLAZAであった。約350人が会場に詰め掛け、金さんは現在の日本を取り巻く情勢や自らの経験について講話。テレビでおなじみの切れ味鋭く、知性あふれるトークで聴衆を魅了した。

 

金さんは台湾・台北出身。1959年に早稲田大学第一文学部に留学。ケンブリッジ大学客員研究員、早稲田大学講師などを経て評論家として活躍した。2000年には母国の国策顧問に就任。09年には日本に帰化し、現在はJET日本語学校名誉理事長を務める。

 

講話では台湾国民党のブラックリスト入りしてパスポートを無効にされたことや、故安倍晋三元首相との交流などを紹介。趣味のペルシャじゅうたんを買おうとして最初は800万円を提示されたが最終的に200万円まで値切った経験を語り、「適正な定価で物が買える日本は例外。世界では交渉と自己主張が必要」と強調した。

 

さらに現在の日本については「日本人自体がどんどん衰退している。トランプや習近平を相手に駆け引きできるリーダーが果たして国内にいるのか」と危機感を示した。

 

金さんは約1時間半の講演の間、立ちっぱなしの上、厳しい口調で私語をたしなめる場面も。90代とは思えないかくしゃくとしたたたずまいでも聴衆を魅了した。

 

安田壮平奄美市長からプレゼントされた大島紬のバッグには「私の帽子とぴったり」とにっこり。「プレゼントしてくれたのは市長だけど、もとは皆さまの税金。市長じゃなくて皆さまにお礼を言いますね」とユーモアたっぷりに聴衆を沸かせた。

 

質疑応答で、奄美大島の防衛体制の在り方について問われた金さんは、「それは奄美で選挙権を持つあなたがたが考えること」と鮮やかに切り返した上で、「国を守るという重大な仕事を担っている人たちをリスペクトして応援することが大切。政治家なら投票が何よりの応援」と民主主義を支える選挙の大切さを説いた。

 

聴講した60代女性=奄美市名瀬=は「いつもテレビで拝見していて、賛同する意見も多いので話を聞きたいと思って参加した。聡明ではっきりものを言い、ユーモアも持ち合わせている人。あらためて感銘を受けた」と感想を話した。

 

講演会は9日に瀬戸内町古仁屋のきゅら島交流館でも開催。東京奄美会の宮地正治会長と金さんとの長年の交流が縁となり、宮地会長が理事長を務めるNPO「サポート倶楽部絆」の主催で実現した。