かさむ出費、食料確保に困惑 総文出演者家族ら帰れず避難 龍郷町 台風6号

2023年08月08日

地域

総文祭出演者の応援で奄美大島入りも台風の影響で帰途に就けず、避難生活を送る坂本さん、猪狩さん一家=7日、龍郷町

動きの遅い台風6号の影響で海、空の便の欠航が長引いている奄美地方。奄美群島の各自治体が開設した避難所には、島外からの旅行者も身を寄せ、台風の通過と航空路線の再開を待ち望んでいる。

 

龍郷町の手広地区振興センターに避難しているのは、いずれも東京都在住の坂本浩一さん(49)一家3人と、猪狩滋彦さん(52)一家3人の計6人。

 

家族ぐるみの付き合いで仲の良い2家族は、先月末から奄美大島で開かれた第47回全国高校総合文化祭(2023かごしま総文)郷土芸能部門に出場する坂本さんの長女(美原高校2年)の応援のため、7月30日に奄美大島入りした。総文祭の舞台発表や観光を楽しんだが、今月2日に東京へ帰る飛行機が欠航。宿泊先のゲストハウスは木造で海沿いにあったことから、管理人から避難を勧められ、5日に避難所へ移った。

 

当初3泊4日だった旅程は、7日現在で5日間延長。宿泊やレンタカーなど出費はかさみ、仕事の調整などにも影響が出た。滞在中は主に自炊だが、猪狩さんの妻・加恵さん(46)は「食料が残れば荷物になる。滞在期間が読めず、どれだけ購入すればいいか分からなかった」と困惑。

 

ゲストハウス滞在中は管理人から毎日、台風の状況や対応のアドバイスを受け、センターに移ってからは避難してきた地元住民と八月踊りなどで交流。猪狩さんと坂本さんは「予定外の長期滞在となったが、温かい島の人に支えられ嫌な気持ちは一つもしなかった。地元の人との交流は子どもたちにとってもいい経験」と感謝する。

 

坂本さんの妻は、学校の部活動関係者と共に1日に帰京した長女の世話のため、キャンセル待ちで席を確保できた飛行機で4日に島を離れた。坂本さんも「一緒に避難生活している小6の娘は母親と離れ、寂しい思いをしている。早く台風が通り過ぎて、地元に戻れれば」と願った。