イヌの不妊手術へ助成を 島内団体が要望書提出 伊仙町

2022年07月12日

地域

12ウェルビーの政田代表(左)から要望書を受け取る大久保町長(提供写真)

徳之島でイヌやネコの適正飼育の普及に取り組む「12(わんにゃん)ウェルビー」(政田由美子代表)は11日、伊仙町役場を訪れ、大久保明町長へイヌの不妊手術への助成を求める要望書を手渡した。大久保町長は「早急な改善が必要。世界自然遺産の島として対応できるよう3町で協議したい」と前向きな姿勢を示した。

 

同団体は「イヌもネコも島民も継続的により良く暮らせる島に」を理念に今年1月に発足。役員7人と約40人のサポーター会員で「適正飼育」「終生飼養」の周知、啓発を軸に活動する傍ら、イヌやネコが繁殖し過ぎて劣悪な飼育環境に陥る「多頭飼育崩壊」の対策に取り組んでいる。

 

島内では野生化したり、放し飼いにされたイヌやネコがアマミノクロウサギなどの希少野生動物を捕食、捕殺する問題がたびたび発生している。対策としてネコの不妊手術には島内3町が1匹当たり1万円の補助を実施しているが、イヌへの対応は遅れており、現在、徳之島町が5千円を補助しているのみとなっている。同団体によるとイヌの不妊手術はネコより高額で、島内では1万5千~5万円の費用がかかるという。

 

政田代表はこれまでに介入してきた島内4カ所の多頭飼育崩壊の現状や、保護したイヌの治療や不妊手術、島外保護団体への移譲にかかった費用などを大久保町長へ報告。多くのイヌが病気にかかり、命も落としている飼育崩壊の悲惨さと、防止に向けた不妊手術の重要性を訴えた。

 

政田代表は「大久保町長も島内の現状を知って驚いていた。問題を知ってもらえたことは一歩前進」と話し、「不妊手術や助成はあくまでも手段にすぎず、最終的には島民全体でペット飼育への考え方が変わらないと解決しない。世界自然遺産にふさわしい島になるよう今後も辛抱強く働きかけたい」と話した。