カムィヤキシンポジウム 伊仙町

2018年12月18日

地域

カムィヤキ陶器窯跡の遺物の修復物を鑑賞する来場者ら=16日、伊仙町伊仙

カムィヤキ陶器窯跡の遺物の修復物を鑑賞する来場者ら=16日、伊仙町伊仙

 2007年に国史跡に指定された徳之島カムィヤキ陶器窯跡について学ぶイベント「きて、みて、まなぶ徳之島のカムィヤキ~焼き物づくりから歴史を知り、語る~」(伊仙町教育委員会主催)が16日、同町ほーらい館であった。「これまでのカムィヤキとこれからのカムィヤキ」をテーマにシンポジウムがあり、来場者はカムィヤキの歴史的な背景や価値などを確認。専門家は関係者と住民が一体となって史跡を保存活用するよう促した。

 

 徳之島カムィヤキ陶器窯跡は1983年、同町阿三のため池工事中に発見され、壺を中心にかめなど5種が出土した。生産年代は11世紀後半から14世紀前半。流通範囲は琉球列島から九州南部まで南北1200㌔に及び、生産、流通の在り方を知る上で重要な遺跡とされている。

 

 陶器窯跡を巡っては、保存管理計画策定委員会が2015年4月、計画書を作成し、町側は史跡の保存・管理や整備、活用などの検討を進めている。イベントは1984年の発掘調査で未報告だった遺物の修復物を展示するとともに、今後の調査や史跡整備に向けて理解を深めることを目的に開催した。

 

 シンポジウムでは7人が発表した。琉球大学国際地域創造学部教授の池田榮史さんは「発掘していない窯跡もあり、誰が焼き物を作って琉球列島全体に行き渡らそうとしたかという歴史的事実には分からない部分も多く、今後明らかにしないといけない」と述べた。

 

 今後の活用については、09年に国史跡に指定された「牛頸須恵器窯跡」がある福岡県大野城市ふるさと文化財課の石木秀啓さんが窯跡を活用した史跡公園など同市の整備計画を紹介した。

 

 文化庁文化財調査官の近江俊秀さんは「遺跡は学者だけのものではない。今後は一般住民も遺跡を守り伝えていく当事者意識を持って向き合ってほしい」と述た。

 

 イベントでは遺物の修復物展示や焼き物づくり、文化財修復の体験コーナーもあり、親子連れなどでにぎわった。