ソテツ被害6千本超に 新たに喜界町でも確認 害虫カイガラムシ
2025年04月03日
自然・気象

カイガラムシ被害で葉が茶褐色に変色したソテツ群=2024年12月20日、奄美市笠利町
2022年11月に奄美大島で初確認され、ソテツの葉や幹、根に寄生し枯死させる外来種「ソテツシロカイガラムシ」(通称CAS)被害について、県はホームページで被害発生状況を公開している。25年2月末現在、同島内の5市町村と喜界町で被害が確認され、累計被害本数は6547本。24年3月末の3倍超に拡大している。県など関係機関は被害拡大を食い止めるため、防除への協力を呼び掛けている。
カイガラムシは植物に付着して幹や枝、葉の汁を吸って弱らせる害虫。被害が進むと葉が黄白色、褐色になり、激しい場合は枯死する。奄美大島では21年夏、奄美市名瀬の一部地区で少数のソテツ被害が確認され、調査した県森林技術総合センターが22年末、国内初確認のCASと発表した。
市町村報告に基づく被害発生状況をみると、道路や公園、公共施設などにあるソテツの被害本数は奄美市が最多の5571本で、龍郷町481本、大和村437本、瀬戸内町34本、宇検村15本、喜界町9本と続く。24年3月末と比べ、奄美市では被害が約4・7倍に拡大した。瀬戸内町加計呂麻島では24年11月、喜界島では今年1月に被害が初確認され、奄美大島以外にも被害が広がっている。
森林にあるソテツの被害面積は、24年3月末比7㌶増の260㌶。市町村別では奄美市139㌶、龍郷町6㌶、大和村37㌶、瀬戸内町16㌶、宇検村1㌶だった。
奄美市での被害急増について、県森づくり推進課は「当初被害が確認された名瀬地区から、笠利地区へ被害が広がっているため」と説明。喜界島や加計呂麻島への侵入経路は原因不明としている。
県や地元自治体は対策として、管理する道路沿いなどで植樹されたソテツの葉の切り落としや薬剤散布を進めている。また、カイガラムシの特徴や対策方法を記したチラシを各世帯に配布するなどして、住民に被害の周知を図っている。
県森林技術総合センターの公表資料によると、これまでの調査で奄美大島では4月の新芽にカイガラムシの幼虫が多数見られ、6~7月に発生がピークとなることが分かっており、「防除は幼虫期が最も効果的。春からの繰り返し薬剤散布が大切」と強調。根気強い対策に加え、被害拡大防止へ奄美大島から島外にソテツを持ち出さないよう、住民に協力を求めている。