久々の「ゆらい」に笑顔 3年ぶりに浜下れ 奄美市笠利町の須野

2022年05月17日

地域

小雨交じりの天候の下、距離を短縮して行われた舟こぎ競争=15日、奄美市笠利町

奄美市笠利町の須野集落(里清忠区長、120世帯240人)で15日、浜下れが行われた。新型コロナウイルスの影響で開催は3年ぶり。感染対策を講じ、規模を縮小しての実施となったが、住民らは久々の「ゆらい」(集い語らうこと)に笑顔を咲かせた。

 

浜下れは豊年を祈る日で、古くは集落で選ばれた年男が断食し、稲穂につく害虫を捕ってバジ(クワズイモ)の葉に乗せ、海へ流したという。その日は、各家では一日中火を起こさず、夜明け前に作ったごちそうを折りに詰め、浜へ降りて食事を取っていた。人々が相寄ればおのずから酒宴になったそうだ。

 

今年は小雨交じりの空の下、浜で舟こぎ競争が行われたほか、同集落の生活館敷地内に移し、島唄やダンスなどの余興が披露された。里区長は「集落内で災いが続いたこともあり、厄払いの願いを込め、開催に至った。この祈りが通じ、来年は集落ににぎわいが戻ることを期待する」と話した。