余多うちばる保存会を発足 集落住民が伝統芸能継承へ 知名町

2023年05月26日

地域

集落の総会で披露された「余多うちばる」=21日、知名町余多(提供写真)

【沖永良部総局】知名町余多集落(和泉清孝区長、97世帯)は21日、同集落公民館で総会を開き、集落に伝わる伝統芸能「余多うちばる」保存会の発足を承認した。会員は集落住民で構成する。会長に就任した余多老人クラブ天竜会長の元栄淳一さん(73)は「今後は子どもたちにも教えて誰もが踊れるような形にし、踊りを継承していきたい」と力を込めた。

 

「余多うちばる」に唄われている姉妹が身に着けていたとされるかんざし

史料や元栄さん、和泉区長(62)の話によると、「余多うちばる」の創作年、作者は不明だが、江戸時代に実在した姉妹の話を唄にしているという。集落には同姉妹一族の墓地があり、1816(文化13)年の刻銘が確認されている。姉妹が身に着けていたとされるかんざしも現存し、子孫が大切に保管している。

 

踊りは男女で構成。男性は偶数で、人数は増やすことはできる。男性2人一組で棒を持って踊りながら向き合い、「テントゥルテン」の掛け声に合わせて互いに棒を打ち合う。女性は三線に合わせて四つ竹を打ち鳴らしながら踊る。これまで集落内で定期的に踊る機会はなく、町でイベントがあるときなどに披露していた。

 

現在踊れる世代は主に60歳以上。この日の総会では若い世代にも同芸能を披露し、その歴史や継承する意義を説明した。和泉区長(62)は「集落内にも踊りを知らない人が多く、(総会で)踊りの歴史的価値を伝えることができたと思う。今後は集落内や町のイベントで披露する機会を増やしたい」と話した。