地域の文化財守ろう 奄美市笠利で防火訓練

2018年01月22日

地域

バケツリレーで消火用の水を運ぶ地域住民=21日、奄美市笠利町笠利

バケツリレーで消火用の水を運ぶ地域住民=21日、奄美市笠利町笠利

 文化財防火デー(26日)を前に奄美市教育委員会と大島地区消防組合笠利消防分署は21日、同市笠利町大字笠利で防火訓練を実施した。地域住民ら約100人が参加。火災から文化財を守るための手順を学びながら、地区内の史跡の価値を再確認した。

 

 訓練は奄美市指定史跡の「笠利大島奉行所跡」であった。同史跡での訓練は初めて。地区放送で火災を知らされた住民は火災現場から貴重な文化財を搬出した後、バケツリレーで初期消火に当たるなど、消防隊が到着するまでの一連の手順を確認した。

 

 訓練後は同教委の平城達哉主事が講師を務め、1609年に薩摩藩が奄美大島に侵攻した際、最初に仮役所を置いたのが同史跡だったこと。さらに歴史をさかのぼった琉球統治下の時代にも琉球国の役所があったと考えられていることなど史跡の歴史的価値を解説した。

 

 笠利分署の元見糸和分署長は「文化財の場合は一般の火災より初期の対応が重要になる。日頃から火の用心を徹底することが大切」と訓練を総括した。同市文化財保護審議会の泉和子委員は「先人が残した貴重な遺産は失われると二度と戻らない。関心を持って皆で守るという意識を持ってほしい」と協力を求めた。

 

 訓練には地域の児童、生徒も参加した。田畑彩葉さん(笠利中1年)は「バケツリレーで一生懸命走らなければいけない役目だったので大変だった。もし火事に気付いた時は、いち早く周囲に知らせられるように普段から気を付けたい」と感想を述べた。

 

 文化財防火デーは1949年1月26日に法隆寺金堂が焼失した火災を教訓に、文化財の保護対策を目的に設けられた。