奄美関係2点を展示 「お出かけ貴重書、知名町へ行く!」 琉球大学付属図書館

2024年01月21日

地域

琉球大学付属図書館所蔵の2点を展示した「お出かけ貴重書、知名町へ行く!」=20日、知名町

琉球大学付属図書館(沖縄県中頭郡)が所蔵する文化資源を届ける「お出かけ貴重書、知名町へ行く!」が20日、知名町立中央公民館であった。琉球大学名誉教授で言語学者の故仲宗根政善氏の「奄美大島方言調査ノート」と、「琉球諸島図巻」の2点を展示。来場者は普段自由に閲覧できない貴重資料に見入っていた。

 

同イベントは大規模な展示ができない地域の公民館や学校で1日限定の小規模展示会を開こうと2022年度に始めた。奄美群島での開催は初めて。2月17日には和泊町防災拠点施設やすらぎ館での開催を予定している。

 

「奄美大島方言調査ノート」は琉球方言を研究していた仲宗根氏が1962年、沖永良部島を調査した部分の記録や日記を中心に展示した。「琉球諸島図巻」は薩摩半島の山川港から沖縄・与那国島までの島々を結ぶ航路図。成立時期や製作者は不明だが、航海に必要な地名や島名、岩礁や瀬、距離、方角などの情報が記されている。

 

この日は関連イベントとして、近世の琉球史を専門とする同大学の麻生伸一教授が「海からみた近世の沖永良部島」と題して講演。薩摩藩の琉球侵攻(1609年)以降も、物々交換のための奄美諸島-沖縄の往来や、権力者の視点では存在しない、琉球王国領の硫黄鳥島と徳之島、沖永良部島間の航路があった事に注目。「政治的な境界と生活圏は一致しない。政治外交的に境界領域に置かれた奄美諸島の人々は、薩摩人とは異なる琉球とのつながりや、琉球人とは異なる鹿児島とのつながりを見いだし、大和や琉球と独自の関係を構築していったのではないか」などと語った。