学生寮「サンゴ寮」が開所 4月から生徒18人が入寮 喜界町

2025年03月25日

地域

「サンゴ寮」の開所を祝い、テープカットする関係者ら=24日、喜界町湾

喜界町が同町湾の町有地に整備した学生寮「KIKAIJIMAマザーツリーハウス」(通称・サンゴ寮)の開所式が24日、現地であった。サンゴ留学(離島留学)で県立喜界高校へ通う生徒18人が入寮予定。式には関係者約20人が出席してテープカットなどを行い、留学生の学びの拠点や、地域住民との交流の場としての新たな施設の開所を祝った。

 

世界でも希少な隆起サンゴ礁で形成された喜界島には、日本で唯一のサンゴ礁研究に特化した研究所がある。サンゴ留学は、島外からの留学生が喜界高に通いながら、喜界島サンゴ礁科学研究所で、喜界島の自然や文化などさまざまな分野について学ぶ留学制度。

 

次世代を担う人材の育成や関係人口の創出などが目的。2023年度から生徒を受け入れ、現在は12人がサンゴ留学生として同高校に通いながら、毎週水曜日の放課後と土曜日に喜界島をフィールドとした研究活動を行っている。4月から3期生として新たに6人を迎え入れる予定。

 

サンゴ留学の希望者が当初の予定より増えたこともあり、受け入れ施設を1カ所に集約し、生徒がより安心して生活できる環境を整えようと、町は奄振交付金(非公共)や、ふるさと納税寄付金を活用し、約2億5080万円でサンゴ寮を整備した。

 

サンゴ寮は木造2階建て、延べ床面積416・04平方メートル。生徒18人分(男女9人ずつ)の個室に加え、多目的室を兼ねた食堂や管理人用の事務室、浴室、トイレなどがある。寮の銘板は、生徒らが採取したサンゴなどを加工して制作。敷地には寮生が管理する花壇も設けた。

 

開所式で隈崎悦男町長は「学生の皆さんが安心して生活できる場として整備した。ここが学びの拠点としてだけでなく、地域との交流の場となることを期待している」とあいさつ。

 

サンゴ留学生を代表し、喜界高2年の樋口美憂さん(17)は「この寮を拠点に勉強はもちろん、島の自然や文化など地域の皆さんと交流しながらたくさんのことを学んでいきたい」と抱負。寮整備に携わった関係者へのお礼も述べた。

 

寮の管理運営は、主に喜界町地域おこし協力隊の隊員らが担い、生徒たちの高校生活をサポートする。生徒らは4月5日からサンゴ寮での生活を始める予定。