昇曙夢の生誕地を訪問 偲ぶ会、在りし日に思いはせる 瀬戸内町加計呂麻島

2023年11月25日

地域

昇曙夢の胸像に献花する参加者=24日、瀬戸内町加計呂麻島

本土で奄美の復帰運動に尽力した昇曙夢(しょむ)の生誕地を巡る催しが24日、瀬戸内町加計呂麻島であった。昇の命日(22日)に合わせて、「昇曙夢先生を偲(しの)ぶ会」(喜入昭会長)と「泉芳朗先生を偲ぶ会」(楠田哲久会長)が企画。前日の23日に奄美市名瀬であった復帰70周年記念「復帰運動に学ぶシンポジウム」のパネリストや来場者ら13人が参加し、昇の胸像に花をささげて在りし日に思いをはせた。

 

昇曙夢(本名・直隆)は1878(明治11)年、加計呂麻島芝集落生まれ。95年(同28)に上京し、ロシア文学者として活躍したほか、奄美の郷土史研究でも功績を残した。戦後は全国奄美連合総本部の委員長を務め、東京を中心とする本土で復帰運動を主導した。

 

24日は、芝集落の豊島主税(ちから)区長(77)をはじめ婦人会・老人会の面々が参加者らを歓迎。一行は昇の胸像に献花し敬意を表したほか、生家も訪れ、床の間に飾られた昇直筆の掛け軸や生前の写真などを鑑賞した。

 

昇の功績や復帰運動について語った伊島秀彦さん(写真中央)=24日、瀬戸内町加計呂麻島

ゆかりの場所を巡った後は集落の公民館に移動。生前の昇を知る同集落在住の伊島秀彦さん(96)が昇の功績を振り返り、地元の復帰運動の様子についても自身の経験を共有した。「小学2、3年生の頃、(昇が)島に帰省した。みんなで八月踊りを踊って歓迎したのを覚えている」と語った。

 

参加した中川恵子さん(76)=奄美市名瀬=は「昇曙夢のルーツを知ることができ奥深い旅だった。歴史の風を感じられてとてもよかった」と話した。

 

喜入会長(80)は「あまり知られていない昇先生を顕彰することができうれしい。これを機にもっと功績を広めていけたら」と期待した。