柳橋の架け替え進む 住用川総合流域防災工事

2018年09月24日

地域

柳橋の架け替え工事が進む住用川の流域防災工事現場=22日、奄美市住用町

柳橋の架け替え工事が進む住用川の流域防災工事現場=22日、奄美市住用町

  鹿児島県は河川の氾濫に伴う水害の再発防止を目的に、奄美市住用町の住用川(2級河川)の総合流域防災工事で河川の拡幅や護岸整備などを進めている。現在、河川の拡幅と並行して国道58号の柳橋の架け替え工事を行っており、2018年度内に橋脚など下部工を終了して上部工に着手。20年度の架け替え完了を予定している。懸案だった下流域の用地買収の遅れも、地元の協力で順調に推移しており、県大島支庁建設課は「早期の事業終了を目指す」としている。

 

 2010年10月の奄美豪雨では、川の氾濫で西仲間地区の家屋97棟が浸水して2人が犠牲になった。住用川の総合流域防災工事は11年度、事業に着手した。

 

 工事は役勝川と住用川が合流する下流域から上流への2・7キロが対象範囲。従来の河川幅員(平均45メートル)を25~50メートル拡幅して水の流量を増やす。下流域での拡幅工事はこれまでに大部分が終了しており、工事全体の進捗(しんちょく)率は事業費ベースで56%。

 

 柳橋から下流へ約300メートルの範囲に点在する民有地の用地取得は当初難航した。地権者らの多くが島外に転出し、地権者の死去などに伴う所有者変更の手続き不備で所有者不明の土地もあったためだ。地元住民らによる調査への協力もあって17年以降は順調に推移。これまでに、工区内の214筆のうち198筆を取得し、取得率は9割超となった。

 

 柳橋架け替えで新設される橋の長さは、河川幅員の拡幅に伴い現在の76メートルから87メートルまで延長。県は架け替え工事と並行して、柳橋の上流約400メートル付近の拡幅や護岸整備も進める予定だ。

 

 総合流域防災工事は、河川に生息する生物や環境に配慮した近自然工法を取り入れており、県内では同町の役勝川工区に次いで2例目。奄美大島にしかいないリュウキュウアユの産卵への影響を避けるため3~5月と11~翌年2月中旬の期間は河川水中の工事を中断し、上流域では河床の保全を図る工法も取り入れている。