気仙沼から漂着物 大笠利港

2022年01月22日

地域

大笠利港に漂着したばんじょう(魚箱)=20日、奄美市笠利町

奄美市笠利町の大笠利港でこのほど、宮城県の漁協が使用するプラスチック製の魚箱が流れ着いているのが見つかった。「気仙沼魚市場」と記されており、発見者は「2011年の東日本大震災で発生した津波により流され、奄美に漂着したのではないか」と驚いた様子。気仙沼漁業協同組合の関係者は「震災を忘れないで、というメッセージでは」などと話した。

 

流れ着いた魚箱は長方形で約80㌢×50㌢、高さ20㌢で、箱の中には直径1㌢の穴がいくつもある。気仙沼漁協によると、沿岸で捕れたサケやタラなど小さい魚を入れる。現地では「ばんじょう」と呼ばれており、11年の震災ではこれらの箱やタンク、コンテナが大量に流されたという。

 

大笠利港に漂着した箱を見つけたのは、同港の防波堤復旧工事を行っている建設会社に勤務する中谷浩さん(57)。今月10日に海岸に打ち上げられているのに気付き、震災による漂流物ではないかと考えた。

 

気仙沼漁協の臼井靖参事(58)は「これまでにハワイや沖縄にもタンクや郵便ポストなどが漂着したと聞いたが、この10年で指を数える程度。長い年月をかけて長旅をしてたどり着いたのも何かの縁」と話し、震災が発生した3月11日を前に、災害の悲劇を語り継ぐ大切さも語った。

 

箱を見つけた中谷さんは「震災のことを思い出し、悲しい気持ちになった。長い時間の中で、太平洋を2周くらいしてきたのか、軽石と一緒に流れ着いたのかなど想像を巡らすと感慨深い」と話した。

 

東北大震災による漂着物として、奄美では昨年3月に与論町で大型コンテナ、5月に瀬戸内町でプラスチック容器が流れ着いているのが確認された。