水木プロの原口さんが講演 宇検村・やけうちっ子講座

2022年12月11日

地域

 

 

熱心に耳を傾ける受講者ら=10日、宇検村

宇検村教育委員会主催「2022年度 宇検村やけうちっ子環境学習世界自然遺産博士講座」第6弾が10日、同村湯湾の村生涯学習センター「元気の出る館」であった。「ゲゲゲの鬼太郎」などの作品で知られる漫画家・水木しげるさんの長女で、水木プロダクション取締役の原口尚子さん(59)が「妖怪と自然保護―水木しげるの視点から」と題して講演。村内外の児童生徒ら約40人が〝水木しげるワールド〟に耳を傾けた。

 

同講座は、21年度に地域の自然や文化、歴史を学び、持続可能な社会の担い手を育成する目的でスタート。原口さんの登壇は2度目で、昨年度は新型コロナウイルスの影響によりオンラインで行われたため、対面形式での講話は初めて。

 

講演では、水木さんが妖怪を描く上で大切にしていた「昔の人が感じたものはそのまま絵に生かす」というポリシーのほか、言い伝えとしてしか残っていない全国にある妖怪の姿を生みだす手法、〝水木妖怪〟の背景に描き込まれた「妖怪がすむ暮らし」などを、自伝小説や生前のインタビュー映像などから紹介した。

 

また、水木さんの「妖怪を感じるには、目に見える世界の他に別の何かがあるのではないかという気持ちが必要。田舎の人(自然の多いところに暮らす人)は妖怪を見やすい」という言葉を交えながら、「ケンムン」(宇検)や「ミンキラウワ」(奄美大島)、「ユナワ」(徳之島)など、奄美大島とその周辺にすむ妖怪を解説した。

 

原口さんは「妖怪は気配であり、昔の人が感じたものがその地の文化そのもの。自然と共生する宇検村の人だからこそ、妖怪と仲良くなれるし、妖怪が元気でいられる環境を守ることができる」と話した。

 

受講した村内在住の上米良心菜さん(8)は「妖怪はカタチがないのでいないと思っていたけれど、いるかもしれないと思った。妖怪がすめる良い環境を作り、守っていきたい」と感想を語った。

〝水木妖怪〟の魅力を伝える原口尚子さん=10日、宇検村