海外アーティストが泥染め作品制作

2020年03月19日

地域

龍郷町で作品づくりに励むオランダ在住の簑島さん(左)とポリンさん=17日、龍郷町戸口の金井工芸

龍郷町で作品づくりに励むオランダ在住の簑島さん(左)とポリンさん=17日、龍郷町戸口の金井工芸

 オランダ在住のアーティストチームが作品づくりのために奄美大島に滞在している。神奈川県出身の簑島さとみさん(30)とスイス人のポリン・アグストニさん(23)。龍郷町の泥染め工房で18日まで制作活動を行い、10月にベルギーの美術館で発表する。

 

 グラフィックデザイナーの簑島さんと布地の素材や柄をデザインするテキスタイルデザイナーのポリンさんは、オランダの美術学校「デザイン・アカデミー・アイントホーフェン(DAE)」の同期生。

 

 2人は既存の技術の歴史や物語性を読み取り再構築して発信する「リサーチャー」でもあり、卒業後、ベルギーの「Z33美術館」が主催するプロジェクトの一環として作品制作に励んでいる。設定したテーマは「マテリアル(素材)」と「カラー」で、本場奄美大島紬の特徴である泥染めに注目した。

 

 予定しているのは泥染めの綿布を用いた立体造形。淡褐色から黒色までのさまざまな色合いの布を使い、泥染めの風合いの魅力とともに作業工程の動きや歴史的背景などの要素を自分なりに解釈、分解しながら作品に反映する。

 

 もともと着物が好きで、制作に当たってすぐに大島紬を思い出したという簑島さん。共通の友人を通して龍郷町の有限会社金井工芸の金井志人さん(40)に昨年末ごろ連絡を取り、今月4日から奄美大島入りした。

 

 今回の制作で初めて泥染めに触れたというポリンさんは「地元の自然素材を用いて地元の人が少数生産していること、働いている人が自然や人への尊敬の気持ちを持っていることが魅力」と語った。

 

 金井さんは「泥染めという技術に対し、いろんなアプローチがあるのはいいこと。国内外の視点が新しい発見を生み、奄美の職人たちにとってもいいきっかけになると思う」と話した。

 

 美術館での発表に合わせ、現地での体験などをまとめた本も出版するという。簑島さんは「ベルギーでの発表後に機会があればぜひ奄美でも展示をしたい」と話している。滞在は19日まで。