病院を一時避難所に 浜里町自治会と奄美病院が協定

2018年11月22日

地域

協定書に調印した泉浜里町自治会長(右)と杉本奄美病院名誉院長=21日、奄美市名瀬

協定書に調印した泉浜里町自治会長(右)と杉本奄美病院名誉院長=21日、奄美市名瀬

 奄美市名瀬の浜里町自治会(682世帯1360人)は21日、町内にある公益財団法人慈愛会奄美病院と、災害時一時避難の受け入れに関する協定を結んだ。自治会と病院で直接締結したのは奄美市内で初めて。災害が発生した際、同病院は一時避難所として、本館と研修センターの一部スペースを提供する。

 

 これまで同町住民の津波災害時一時避難場所は、市の防災計画で、小宿の大島郡医師会病院と介護老人保健施設虹の丘の2カ所とされていた。

 

 自治会の勝村克彦事務局長によると、昨年夏の防災訓練で住民が医師会病院まで歩いたら30分近く要し、住民から「緊急避難場所はもっと近くにあるべき」との意見が出た。先月の防災訓練では奄美病院を一時避難場所として使用。車いす利用者ら避難困難者も10分ほどで移動できたという。

 

 奄美病院によると、本館には病床が356床あり、常時270床ほどが稼働している。空いている病床や談話室、研修センターの会議室などを災害時に提供し、500人ほどを受け入れられる。

 

 21日に奄美病院であった協定書調印式で、杉本東一名誉院長は「住民と関わる機会が少なく、地域貢献もなかなかできていなかった。交流を図るためにもいいきっかけになれば」と期待。

 

 泉直樹自治会長は「まずは住民に周知するが、全員が奄美病院に避難できるわけではない。集合住宅の場合は4階以上に避難するなど、地区や住居形態ごとに一時避難先を再確認しなければならない」と課題を述べた。

 

 奄美病院は2019年度、市の防災計画に浜里町住民の津波災害時一時避難場所に追加される。市危機管理室の田中巌室長は「避難場所が増えるのはいいこと」と話した。