脳死判定で臓器摘出手術 県立大島病院

2019年10月23日

地域

摘出された臓器を乗せ、奄美空港に向かうタクシーと、見送る病院スタッフ=22日、奄美市名瀬の県立大島病院

摘出された臓器を乗せ、奄美空港に向かうタクシーと、見送る病院スタッフ=22日、奄美市名瀬の県立大島病院

 奄美市名瀬の県立大島病院にくも膜下出血で入院していた50代男性が臓器移植法に基づく脳死と判定され、同病院で22日、移植のための臓器摘出手術が行われた。本人から臓器提供の意思を示す書面はなかったが、家族が承諾した。奄美で行われた移植のための臓器摘出手術は3例目。

 

 臓器移植のあっせんを行う日本臓器移植ネットワークが発表した。法施行後の脳死判定は全国で641例目。男性は18日に脳死判定を受けた。臓器摘出手術は22日午前7時すぎから行われ、摘出された臓器は奄美空港(奄美市笠利町)からの定期便などで国内の4医療機関に搬送された。

 

 移植先は、心臓が大阪大学医学部付属病院の50代男性、肺は千葉大学医学部付属病院の30代女性、肝臓は福島県立医科大学付属病院の60代女性、片方の腎臓は鹿児島大学病院の50代男性。また、大阪大学医学部付属病院では40代女性に膵臓(すいぞう)ともう片方の腎臓の同時移植を予定。小腸は医学的理由で移植を断念した。

 

 救命救急センターを備える県立大島病院は、奄美群島唯一の臓器提供施設。石神純也院長は「今回、ご家族の貴重な意思で臓器提供が行われ、県立大島病院が臓器提供施設としての重大な責務を果たせたことに感謝する。移植を受けられる患者の経過が順調であることを期待する」とのコメントを出した。