陸自配備の危険性指摘 奄美市で小西氏が講演

2019年04月01日

地域

奄美大島への陸上自衛隊配備に伴うリスクなどを訴えた小西氏=31日、奄美市名瀬

奄美大島への陸上自衛隊配備に伴うリスクなどを訴えた小西氏=31日、奄美市名瀬

 「奄美からミサイルを発射すれば、当然奄美は敵の標的になるが、警備部隊の任務はミサイルの護衛だ」―。奄美大島への陸上自衛隊配備に関する講演会が31日、奄美市名瀬のAiAiひろばであり、元航空自衛官で軍事評論家の小西誠氏(70)が配備に伴う危険性や今後の展望などについて持論を展開した。

 

 防衛省は、海洋進出を進める中国をにらんだ南西諸島防衛強化の一環として、奄美大島に地対空・地対艦ミサイル部隊と警備部隊を配備した。

 

 小西氏は「島しょ防衛の中心となるのはミサイルだが、敵に発射位置がばれれば当然反撃を受ける」と指摘。「敵のミサイルによる攻撃から地対艦ミサイルを守るのが地対空ミサイルであり、それらを守るのが警備部隊。島民を守るのは自衛隊の主要任務ではない」と強調した。

 

 「島内では今後、警備部隊による対ゲリラコマンド(ひそかに侵入し破壊活動を行う集団)戦闘訓練も確実に実施されるだろう」と小西氏。海岸への上陸訓練や市街地内での武装訓練など、「本土では行えない実戦的な内容を奄美で訓練するのではないか」と語った。

 

 講演会は軍事施設建設に反対する地元住民らの主催で、島内外から約60人が参加。参加者から「小さな島に世界遺産と自衛隊基地は両立できるのか」と質問が上がり、小西氏は「ミサイル塔載車は夜間移動が多く、野生生物との事故は十分起こり得る。こうした問題をどうクリアするのか関係者は考える必要がある」と指摘した。

 

 講演後、小西氏は取材に対し「車載のミサイルは発射と移動を繰り返す。駐屯地外を移動することもあるし、ミサイルを隠すための施設が新設される可能性もある。これは有事の際の『戦地化』と、それに備えた『要塞(ようさい)化』を意味するが、絶対に阻止しなければならない」と訴えた。