集落の避難体制構築へ 住民らが防災で意見交換 課題解決に行政や企業も協力 奄美市住用町役勝

2022年07月06日

地域

集落民の避難体制構築などを目的に開かれた役勝集落の会合=6月27日、奄美市住用町

奄美市住用町役勝集落(79世帯、145人)で、災害時の避難体制構築など、地域防災力の強化に向けた住民主体の取り組みが始まっている。今年1月16日の津波警報発令時に浮き彫りとなった災害時の課題解決に向けたもの。6月下旬には集落の役員や企業関係者らが会合を開き、地域防災について意見交換。防災意識を高めるための「防災デー」の設定や、避難所の見直しなどを議題として約1時間半、熱心に議論を重ねた。

 

防災会議は、集落在住で発起人の三浦和美さん(66)が、上・中・下役勝の3区長らに相談して開いた。今年1月16日未明の奄美群島全域への津波警報発令に伴っては、役勝集落でも独居高齢者の避難誘導など、さまざまな課題が浮き彫りとなり、住民らは「改めて地域の防災体制を見直そう」と、対策の必要性を確認。集落の公民館で開いた会議には住用消防分駐所、市住用総合支所の職員もアドバイザーとして加わった。

 

議題となった月1回の防災デー(仮称)の設定は、自宅にある防災グッズの確認などを促すのが狙い。集落放送による注意喚起や、住民同士で声を掛け合うことで防災の意識付けを図るアイデア。消防からは「災害規模にもよるが、離島の特性を踏まえ、食料の備蓄は可能なら1週間分が望ましい」といった助言もあった。

 

また、▽独居高齢者ら要支援者1人に対し、3人で支援する体制づくり▽地区ごと、災害の種類ごとの避難所の見直し・設定▽避難所の備蓄品の見直し▽集落内にある企業との協力体制構築―などについても議論した。

 

集落内の事業所からは、避難場所として利用するため所有する施設の開放の提案や、災害時に有効活用できそうな資材、設備に関する情報提供があった。また課題に上がった情報共有手段では、無料通信アプリ「LINE(ライン)」を活用し、災害時用の住民グループラインの作成などが提案された。

 

三浦さんは「1月の津波警報発令時、避難すべきか悩んだり、どのように行動するか戸惑った人たちもいて、このままではいけないと感じた。行政の協力も得ながら、災害時に集落住民で助け合える体制を整えていけたら」と話した。

 

市住用総合支所地域総務課の久保田貴美人さんは、「公助の役割も大事だが、まずは自助、共助。このような住民主体の取り組みは大変ありがたく、行政もできる限り協力していきたい」と語った。