高齢者の難聴、諦めないで 中石氏講演に約100人 「耳の日の集い」

2024年03月04日

地域

中石真一路氏による講演で「ヒアリングフレイル」や難聴への理解を深めた「耳の日の集い」=2日、奄美市名瀬

あまみ難聴者中途失聴者協会(伊集院美代子会長)主催の第2回「耳の日の集い」が2日、奄美市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)であった。NPO法人日本ユニバーサル・サウンドデザイン協会の中石真一路理事長が講演。高齢になり聴力が衰え、音が聞き取りにくくなる「ヒアリングフレイル」や難聴がもたらす認知症のリスクを解説し、地域住民ら約100人が理解を深めた。

 

3月3日の「耳の日」に合わせ、難聴への理解や認知症予防の意識啓発を目的に開催した。日本の推定難聴者数は約1430万人(2018年時点)で、全人口の約11・3%。

 

中石氏は、難聴は伝音性、混合、感音性に分類され、感音性難聴では音の明瞭さが低下し、大きな声でも言葉が理解できない場合があると説明。「聴力が低下した高齢者は、大声の対話の反復に萎縮したり『伝えても大声で返すだけで、分かってくれない』と聞こえたふりをする人もいる。意思疎通ができないと諦めが生じ、会話の減少や自尊心低下につながる。それが認知機能の低下と誤認されることも多い」と指摘した。

 

「難聴を放置すると脳が萎縮し、認知症の進行につながる。聴力に対し正しい知識を身に付けて」と訴え、高齢の難聴者には▽3段階の大きさの声に対する反応▽左右どちらの耳が聞こえやすいか▽会話をかぶせてくるか―などを確認するよう提案。今年4月から障がい者への「合理的配慮」の提供が義務化されることにも触れ「専門家だけでなく多職種の連携が欠かせない。高齢者の『聞こえ』の課題に気付き、改善する地域の仕組みづくりを作ってほしい」と呼び掛けた。