鹿大環境文化シンポ「名瀬まちの現状考える」

2019年09月24日

地域

旧名瀬市中心部をテーマに奄美での街づくりの在り方を議論した第3回環境文化シンポジウム=23日、奄美市名瀬

旧名瀬市中心部をテーマに奄美での街づくりの在り方を議論した第3回環境文化シンポジウム=23日、奄美市名瀬

 旧名瀬市中心部を歩き、街の歴史やこれからの在り方を考えるシンポジウム「名瀬のむかし、奄美大島のこれから~名瀬から発信する奄美の環境文化を考える」が23日、奄美市名瀬のAiAiひろばであった。多くの市民が参加し、奄美大島の都市部における人と人とのつながりや、まちづくりについて考えた。

 

 鹿児島大学鹿児島環境学研究会が主催。豊かな自然と暮らしの文化が共存する「環境文化」という概念を中心に、奄美のこれからの地域づくりを模索しようと、2018年から開催され今回で3回目。

 

 今回は旧名瀬市中心部における人間関係の変化や、農村集落との関係がテーマ。奄美博物館館長・高梨修氏、奄美郷土研究会副会長・岩多雅朗氏、名瀬八月踊り保存会事務局長・當光二氏、洋服店「ダグウッドサンド」オーナー南和仁氏、漫談デュオサーモンアンドガーリック・新元一文氏の5人が登壇し、意見を交わした。

 

 市街地で25年間店を経営している南氏は、街の変化を「スマートフォンやSNS(会員制交流サイト)の発達で、若者の購買行動が大きく変わった」と人々の行動の変化を指摘。宇検村出身で現在奄美市に暮らす新元氏は「SNSの発達で、同世代の『横』のつながりは作りやすいが、郷友会のような多様な世代が集う『縦』のつながりは難しい時代になったと感じる」と話した。

 

 都市部と農村集落の関係について、奄美大島内の山村留学制度の現状について来場者らも議論。参加者した関係者からは「市内の大規模校から集落の小規模校への留学制度では、受け入れる集落の里親の確保が難しい」「子どもの意識の変化もあり、里親宅での宿泊を嫌がり、自宅からの送迎が好まれている」など、都市部と集落をつなぐ在り方が模索された。

 

 シンポジウムの前には、午前中、旧名瀬中心部のまち歩きが行われた。高梨氏を案内人としたグループは矢之脇町一帯を歩き、かつて大島支庁があった金久公園などを確認し、蘭館橋では悲恋の物語などを学習。岩多氏をガイド役としたグループは市中心部のアーケードで、かつての商人の歴史などを学んだ。