119番多言語対応運用へ 県内初、6月1日から 15カ国語で24時間365日 大島地区消防組合

2018年05月30日

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6月に119番の多言語対応を始める大島地区消防組合通信指令室=29日、奄美市名瀬

6月に119番の多言語対応を始める大島地区消防組合通信指令室=29日、奄美市名瀬

 大島地区消防組合は6月1日から、119番通報を15カ国語で対応する。外国人の通報者と消防本部通信指令室、コールセンターの3者が同時通話できる仕組みを導入するもので、24時間365日対応できる体制としては県内初。外国人観光客増加を見据え、外国語の通報へ迅速で的確な対応を目指す。

 

 管内の奄美大島と喜界島6市町村からの通報に対応。日本語での会話が困難な外国人から119通報が入った場合、通信指令室からコールセンターに通訳を依頼。3者間で通話をしながら相互通訳を行う。さらに救急現場での活動では、救急車両などに配備した携帯電話を使用してコールセンターにつなぎ、スピーカー状態にして救急隊員、外国人傷病者との3者間同時通話を行い、円滑な意思疎通を図る。

 

 対応言語は英語、中国語(北京語)、韓国語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語、ポルトガル語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ロシア語、タガログ語(フィリピンの公用語)、ネパール語、マレー語の15としているが、実際には北京語以外の中国語など、他にも対応できる言語はあるという。

 

 大島地区消防組合消防本部によると、これまでに外国語での119番通報はなく、あった場合には、通報者に対し「近くにいる日本語話者に代わってください」と5カ国語(英、中、韓、タガログ、ポルトガル)の音声案内で伝えることになっていたという。

 

 2016年ごろ、世界自然遺産登録へ向けた動きなどから、外国人観光客増加を想定したシステム導入の話が浮上。18年5月29日までに、コールセンターとの業務委託契約、試験運用などを行い体制を整えた。30、31日には消防署員への熟知訓練を実施する。

 

 川畑洋一消防長は「外国語での通報への対応は将来的に必要になるもの。県内で初の試みということで、好事例になるようしっかり取り組みたい」と話している。