4月以降配車サービス導入 与論町、観光客の移動に自家用車活用

2019年02月04日

地域

2018年は7万3千人余の入り込みがあった与論島=同年2月、同町供利港

2018年は7万3千人余の入り込みがあった与論島=同年2月、供利港

 スマートフォンなどのアプリを運営する㈱Azit(アジット、本社・東京都、吉兼周優代表取締役)は1日、与論町内の観光客が住民の自家用車で目的地まで移動できるようにする配車サービスを、4月以降定常的に提供すると発表した。島内の公共交通機関だけでは不十分な観光シーズンの移動需要に対応したい考えだ。昨年8月に島内で行った実証実験も踏まえて決定した。

 観光客など利用者が同社運営アプリ「CREW」を起動して出発地と目的地を設定すると、アプリに事前登録している近くの住民ドライバーとマッチング。自家用車で目的地まで送るサービス。

 道路運送法は「白タク行為」を原則禁止しているが、国土交通省は昨年、「自発的に謝礼が支払われた場合は有償とはみなされない」と通達。同社サービスでは、利用者は実費(ガソリン代)とシステム利用料を払うが、謝礼の支払いは任意となる。

 2018年の与論島への入り込み客数は7万3204人で、3年前と比較して約3割増加。半面、公共交通機関はバス1路線、タクシー8台と少なく、観光シーズンの移動需要への対応が課題だった。

 サービス提供の決定に当たっては同社とヨロン島観光協会(永井新孝会長)、島内でバス・タクシー事業を運営する南陸運㈱(南有隆代表取締役)との間で事前合意が交わされた。4月以降、島内では同アプリを使い、タクシーの配車も可能になるという。

 アジットは「実証実験では住民ドライバー、ライダー(観光客など利用者)双方からの評価も高く、観光協会やタクシー事業者の強い意向もあり、観光ハイシーズンの4~10月にかけてCREWを定常的に提供していくことを決定した」と説明。

 配車サービスの運営主体を担う同観光協会の里山剛史さん(32)は「『タクシーが拾えない』など、移動手段に関する観光客からの問い合わせが多かった。新たなサービス導入がこうした課題の解消になれば」と話した。