イノシシが激増 龍郷町
2019年12月08日
地域
龍郷町全域でイノシシの被害相談が増加している。有害鳥獣の捕獲が認められる4~10月中の捕獲頭数は今年193頭で、例年の約4倍。畑や民家の庭で被害が多発しているほか、通学路近くでも地面を掘り返した跡が見つかっており、町は注意を呼び掛けている。
町農林水産課によると、イノシシ被害の相談は6月ごろから寄せられ、夏になって増加。町猟友会に依頼して捕獲を進めているものの、寄せられる相談数は減っていないという。
町は2010年度から県事業で継続してイノシシ防護柵の設置を進めている。担当者は「本当は山を囲むように一気に設置した方が効率がいいが、事業上地域をまたいでの設置が難しい」ともらした。現状は地形や予算の関係もあり、防護柵でほ場を囲む形になっているという。
イノシシ被害はこれまでに大きな被害報告がなかった地域にも拡大している。1日は住民の要望を受けて手広地区で説明会があり、町職員が住民と被害地域の範囲や防護方法について話し合った。小中学校や福祉施設近くの道路脇でもイノシシが地面を掘った跡が見つかっている。
町猟友会(会員約50人)の西田重彦会長(60)は「ここ2、3年シイの実が豊富だったので山のイノシシが増えていた。今年は食べ物が減り人里まで下りてきたのでは」と分析。
住民から猟友会への相談も多いが「会員だけじゃ手が回らない状況」。応急的な自衛策として、人のにおいの付いた服をつるしたり車の芳香剤をまくなどでイノシシを近寄らせない方法を伝えているという。
西田会長は「けがをしているなどよほど追い詰められていたりしない限り、出合ったとしても向こうが逃げていく。イノシシが増えて山から下りてくることは過去にもあった。(猟シーズンが終わった)来年以降は落ち着くのでは」と話した。