沖縄の文化や自然漂う 講演や舞踊で交流促進 第3回琉球フェスタ 奄美市

2023年11月27日

社会・経済 

シンポジウムで討論する花城良廣理事長(左から2人目)らパネリストたち=26日、奄美市名瀬のアマホームPLAZA

沖縄県にルーツを持つ奄美在住者らでつくる「奄美沖縄県人会」(前川順英会長)主催の第3回琉球フェスタが26日、奄美市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)であった。沖縄本島で研究が進む固有植物の保存活用例についての基調講演やトークショーの他、艶やかな琉装による琉球舞踊の披露や沖縄料理の出店などがあり、会場には沖縄の文化や自然が漂った。

 

フェスタは、今年の奄美群島日本復帰70周年と昨年の沖縄日本復帰50周年を記念し、5年ぶりに開催。「きょら島とちゅら島のかけ橋へ」をテーマに、両地域の理解と交流を深めようと企画された。

 

首里城公園などを管理運営する「沖縄美ら島財団」の花城良廣理事長が講演し、沖縄で絶滅寸前だった植物「リュウキュウベンケイ」の種の保存に取り組んだ研究事例を発表。品種改良を重ねた結果、水が無くても1カ月間長持ちし、多様な色合いの花を咲かせる新品種の改良に成功したと報告した。花城理事長は「沖縄での事例は奄美でも通用する。島固有の資源や景観を大事に活用すべき」と講話した。

 

トークショーでは、瀬戸内町立郷土館学芸員で民俗学研究者の町健次郎さんが「固有種を活用するには特許取得をどうクリアするかが課題になるのでは」と投げ掛け、花城理事長は「奄美できちんと品種登録をすれば国内で活用する分には可能だ」と述べた。前川会長は海産物の品種改良の現状を質問し、花城理事長は「動物の品種改良は危険。飼育技術を改良することでコストを抑えた養殖産業に貢献できる」と話した。

 

音楽ステージでは、ゲスト招待された国指定重要無形文化財「琉球舞踊」保持者の前川美智子さんが、琉球舞踊曲の生演奏に合わせて古典舞踊「瓦屋カラヤー」などを厳かに披露。奄美からも唄者の平田まりなさんや里朋樹さんらが島唄やポップスを披露した。

 

国指定重要無形文化財(琉球舞踊)保持者の前川美智子さんの琉球舞踊=26日、奄美市名瀬のアマホームPLAZA

 

20年以上ぶりに奄美沖縄県人会のイベントに参加したという沖縄県伊是名島出身の徳田久美子さん(78)はロビーの古写真を眺め「幼少期は両親とよく県人会に参加していたが、親が亡くなってから足が遠のいていた。知っている人ばかりが写っていて懐かしい」と思い出に浸っていた。