海と空から、離島奪還想定 米海兵隊上陸は中止に 「アイアン・フィスト25」沖永良部島で共同訓練
2025年02月28日
社会・経済

大山野営場で行われた戦闘訓練で、周囲を警戒しながら前進する陸自水陸機動団の隊員たち=27日、知名町
陸上自衛隊と米海兵隊による日米共同訓練「アイアン・フィスト(IF)25」は27日、沖永良部島で離島奪還を想定した訓練があった。同島での日米共同訓練は、昨年3月のIF24に続き2回目。昨年同様に、知名町の大山総合グラウンドと野営場で「空から」上陸した隊員が陣地を確保する陸上戦闘訓練があり、和泊町の笠石海岸では偵察用ボートによる「海から」の着上陸訓練が行われた。島内での訓練で実弾や空包の使用はなかった。
訓練は米側の運用の事情により、当初予定していた米海兵隊の上陸訓練は中止。米海兵隊の輸送機MⅤ22オスプレイの飛来も取りやめとなった。
陸自側の訓練の主力は、島しょ部を占拠された場合に上陸・奪回・確保する「水陸両用作戦能力」を持つ水陸機動団(長崎県相浦駐屯地)。IF25は水陸両用作戦の能力向上などを目的に行われる大規模実動訓練で、今回は日米計約4000人が参加している。
陸自によると沖永良部島での訓練は離島奪還作戦のうち、前段階の「戦闘予行」と呼ばれるもの。目的とする島の奪還に向け、必要と想定される戦闘行動を事前に他の地域で実践し、部隊の連携を確認する。沖永良部島での訓練は、3月1日に沖縄で予定されている訓練の戦闘予行となった。
知名町では午後2時ごろ、沖合に待機する海上自衛隊の輸送艦「くにさき」から離艦した陸自のCH47大型輸送ヘリ1機が大山グラウンドに着陸。小銃を携行した水陸機動団の隊員約20人が降下し大山野営場へ移動、同地に展開していた敵部隊を攻撃しながら前進、制圧するまでを実践した。
同日夕に和泊町笠石海岸であった訓練では、米海軍のドック型揚陸艦「ラッシュモア」を出発した偵察ボート5艇と「くにさき」を出発した偵察ボート4艇が、敵配置や地形を先行して確認する「遊泳斥候員」の誘導に従い、砂浜へ。陸自水陸機動団の隊員の計約70人が上陸した。
同海岸には地域住民約30名が見学に訪れた。26日に旧知名町役場前で訓練反対集会を行った市民団体ものぼりを手に訓練の様子を見届けた。
沖永良部島での訓練は27日で終了。陸自隊員らは3月1日ごろまで島に滞在し、定期フェリーなどで帰隊予定。IF25の総合訓練は5日まで九州、沖縄の各地で行われ、3月1日には沖縄県で日米指揮官による共同記者会見などがある。