生物多様性、保全・持続へ 県戦略改定に課題整理 鹿児島市で検討会

2023年08月27日

社会・経済 

生物多様性県戦略の改定に向けて開かれた第1回検討会=24日、鹿児島市の県庁

【鹿児島総局】生物多様性の保全と持続可能な利用を目指す基本計画「生物多様性鹿児島県戦略」の改定に向けた第1回検討会(座長・奥山正樹鹿児島大学特任教授、委員9人)が24日、鹿児島市の県庁であった。奄美大島、徳之島の世界自然遺産登録やこれまでの取り組み成果などを踏まえて課題を整理。2024年度からの10年間を計画期間とする新たな県戦略を、23年度内に取りまとめることを確認した。

 

現行の戦略は「共生」と「循環」を基本理念に14年3月策定。今年度が計画期間の最終年度となることから、検討会では戦略の達成状況を把握、評価した上で、自然的・社会的な状況の変化も踏まえた今後の施策の在り方などを協議。検討結果を次期戦略に反映させる。

 

会では県が現行戦略の最終評価案を示した。戦略策定時より状況が悪化した項目には「交通事故や他の生物の捕食による死亡が確認されたアマミノクロウサギの数」を挙げ、今後も生息推定個体数の回復や観光客の増加などでロードキル(交通事故死)が増えると想定されることから「より効果的な取り組みを行うとともに、評価方法を検討する必要がある」とした。

 

委員からは最終評価の考え方について「何を課題として協議すべきなのか検討すべき」「(個別施策などの)分析を加えて整理する必要がある」といった意見が出た。

 

県自然保護課が報告した生物多様性に関する県内の状況によると、22年度実施の県政モニターアンケートで「生物多様性」という言葉の認知度は35%にとどまった。同課は「県民への普及啓発は十分ではない」と分析。生物多様性地域戦略を策定した県内市町村は、今年8月時点で奄美大島5市町村を含む9市町村。戦略策定時から7自治体増えた。また、エコツーリズム推進全体構想は奄美12市町村と屋久島町、薩摩川内市が策定し、環境省が認定している。

 

第2回検討会は10月に開く予定。