繁華街、客足戻らず 奄美市

2021年05月28日

社会・経済 

新型コロナウイルスの影響で経営が悪化した飲食店の救済措置として、家賃1カ月分の免除を決めたテナントビル=27日、奄美市名瀬

   「やんごに人が戻らない」│。奄美市名瀬の繁華街・屋仁川通り(通称やんご)では、県の要請で23日まで2週間続いた時短営業終了後も客足は遠のいたままだ。新型コロナウイルスの影響が長期化する中、家賃や人件費の資金繰りに苦慮し、窮状を訴える飲食店は少なくない。救済措置として家賃を免除するテナントビルが出てきたほか、行政に対し経済支援を求める声も上がっている。

 

 同市名瀬でスナックやラウンジ、バーなど19店舗が入るテナントビルを所有するラ・ムール(同市)は、6月分の家賃を免除することを決めた。家賃免除措置は昨年5月に続いて2度目。平良建太専務取締役(35)は「資金的に厳しいという声を聞いており、各店舗の経営状況を考慮した結果、お互いに痛みを分かち合うことが大切という思いから家賃免除を決めた」とし、「家賃分はコロナ対策などに充ててほしい。世界自然遺産登録後は来島者の増加が見込まれることから、各店舗がお客さまも従業員も安心して飲んだり歌ったりできる場になれば」と語った。

 

 家賃免除を受け、ラウンジLADYを経営する田畑智子さんは「ビルのオーナーさんにとっては大きな決断。大変な状況の中で本当にありがたい。これから先、長く営業していくことで恩返ししたい」と感謝した。

 

 居酒屋など飲食店49店舗とスナックなど接待を伴う飲食店27店舗でつくる「屋仁川飲食業有志の会」は今月10日、家賃補助などの経済支援や県の協力金支給対象外となった事業所(酒屋や納入業者など)への救済措置などを奄美市に要望した。

 

 市内で居酒屋などを経営する有志の会世話人の築道弘さん(56)は「時短営業が終わっても人の動きは変わっていない。感染者もゼロになっておらず、県は要請期間を延長すべきだったのではないかと思う。厳しい状況は今後も続くと予想され、支援がなければ状況はさらに悪くなる。有志の会の皆さんの声を聞きながら、奄美市には迅速な対応を求めていきたい」と強調した。