輸送船故障で糖蜜回収に遅れ 一時操業停止の製糖会社も 奄美群島

2025年02月15日

社会・経済 

鹿児島県、沖縄県の製糖工場から製糖副産物の糖蜜を回収する取引業者が契約する輸送船の故障に伴い、奄美群島の一部大型製糖工場は一時操業停止に追い込まれている。取引業者は現在1隻体制で糖蜜回収をしているが、糖蜜タンクの貯蔵量が限界に達したことにより、喜界島の生和糖業は16日から5日間、操業停止を決定。奄美大島と徳之島でも3月に操業停止を予定しており、製糖終了の遅れによる次年産の収量への影響が懸念される。

 

鹿児島、沖縄両県の製糖会社と糖蜜取引を行う三昭(本社東京都千代田区)は、これまで船会社と契約して輸送船2隻で回収していたが、船体検査で1隻に故障が発覚。修繕の待機期間中に船員の離職が相次ぎ、運航に必要な船員確保に時間を要しており、船会社に対して船舶の早期復帰を求めているという。

 

奄美群島内5製糖会社の糖蜜在庫量(10日時点)は、▽富国製糖(奄美大島)375トン▽生和糖業(喜界島)870トン▽南西糖業(徳之島)2000トン▽南栄糖業(沖永良部島)700トン▽与論島製糖382トン。在庫量がタンク容量を超えている南栄糖業は、超過分を軟水タンクなどに一時貯蔵して対応している。

 

各社の糖蜜タンクが満杯になる予定日は、生和糖業と南栄糖業が15日、富国製糖と与論島製糖が20日、南西糖業が3月5日。糖蜜の回収計画(14日現在)は今月下旬に南栄糖業と生和糖業、3月上旬には与論島製糖と富国製糖、3月下旬に南西糖業で各300~500トンを予定している。

 

生和糖業は洗缶と春植え推進で9日から中断していた操業を16日から再開予定だったが、糖蜜タンクの満杯に伴い再開時期を20日まで延長することを決めた。1月にも2日間操業休止しており、輸送船故障による工場の休止期間は計7日間に達する。

 

富国製糖は26日から実施する洗缶による操業中断を、当初の3月2日から7日へ5日間延長する。糖蜜を農薬登録している南西糖業は糖蜜を農場に散布するほか、新たに3月12~18日に洗缶期間を設け、操業を1週間休止する。

 

南栄糖業は工場敷地内の保管施設を活用して、糖蜜を一時貯蔵。与論島製糖は輸送用トラックなどへ移し替えて対応しており、両社とも現時点で操業休止の予定はない。

 

各製糖会社からは「3月内に製糖が終わらなければ、次年産にも影響が出る」「もっと早く回収してほしいが、トラブルは仕方がない」「農家になるべく影響が出ないように、工場を止める場合は早期に通達する」などの声が上がった。