2710反、前年比8%減 2023年の生産実績 本場奄美大島紬

2023年12月30日

社会・経済 

本場奄美大島紬の反物を検査し印鑑を押す本場奄美大島紬協同組合の担当者=28日、奄美市名瀬

本場奄美大島紬協同組合(黒田康則理事長)は28日までに、本場奄美大島紬の2023年生産実績をまとめた。検査反数は2710反(前年比250反減)で減産率8・45%。生産額も2億3063万円(同1804万6千円減)と7・26%ダウンした。各工程の職人の高齢化に、後継者育成が追い付かない業界の人材不足が深刻化。関係者は「需要が供給を上回っている。仕事はあるのに人がいない」と厳しい現状を訴えている。

 

23年の生産反数について、図柄の精密さに関わる経糸の密度「算数(よみすう)」別でみると、15・5算は1818反(前年比228反減)、13算は892反(同22反減)。男女別は男物294反(同22反減)、女物2416反(同228反減)だった。

 

2023年本場奄美大島紬生産実績

染色材料別では、代表的な「泥」1290反(同61反減)、藍染めを織り混ぜた「泥アイ」99反(同63反増)、植物染液も使う「草木泥」278反(同24反減)のほか、化学染料が1043反(同231反減)となった。

 

検査反数2710反のうち不合格は14点(不合格率0・52%)。内訳は絣(かすり)不ぞろいと筋引きが各4件、尺不足と地合不良が各2件、傷と汚れが各1件。ほか大島紬以外の産地証明は140件。

 

前年比1割近い減産が続く近年の状況について、黒田理事長は「職人が減っている以上、減産は避けられない。ただ需要が落ちているわけではない」と前向き。「数年前から後継者育成に本腰を入れており、その成果に賃上げが伴えば業界存続につながる。その課題を一つ一つクリアしていくしかない」と力を込めた。

 

本場奄美大島紬の年間生産反数は、大正中期の1918年から戦時中の43年にかけて20万反以上で推移した後、終戦を機に大きく低迷。日本の高度経済成長に伴い68年から再び20万反台に持ち直したが、85年以降39年連続の減産となっている。