「ありがとう」「がんばれ」 転出者との別れ惜しむ 異動や進学で引っ越しピーク 奄美市の名瀬港

2024年03月29日

社会・経済 

遠ざかる船に手を振り転出者らを見送る人々=28日午後9時、奄美市名瀬

異動や進学に伴う引っ越しがピークを迎えている。奄美市の名瀬港には28日夜、島を離れる恩師や友人らを見送ろうと、多くの人々が訪れた。同港からは175人が乗船。港のターミナルデッキでは、見送る人々が遠ざかる船に大きく手を振り「ありがとう」「がんばれ」と大切な人との別れを惜しんでいた。

 

ターミナルでは午後7時半ごろから人々が横断幕やのぼりを掲げ、別れの言葉を交わして記念撮影。互いに感謝を伝え再会を誓う姿が見られた。

 

古仁屋高校から霧島高校に異動する盛山浩行教諭(43)は「校舎から見える加計呂麻島と大島海峡の景色がきれいだった。生徒たちも素直でやりがいのある環境だった」と4年間を振り返った。

 

鹿児島市に引っ越す𠮷峯真月さん(12)は22日に手花部小学校を卒業したばかり。「とても楽しい経験ができた」。友人の垣内澪里さん(9)は「私たちのことを忘れないで頑張ってほしい」と思い出をかみしめた。

 

自衛官として国分駐屯地に勤務する池田匠建さん(18)=大島北高卒=は友人らに囲まれ、「周りの人に恵まれた深い18年だった。寂しいが島ではできないこともたくさんあるので頑張りたい。ゆくゆくは地元に帰って働けたら」と意気込んだ。

 

同港では新型コロナウイルス感染対策として2020年から岸壁での見送りを禁止しており、感染症5類移行後も規制を継続。県港湾空港課は「事故防止と安全確保」が主な理由としている。風物詩となっていた紙テープで船と岸壁をつなぐ光景は見られなかった。